【5/4 SCC】1+3-7+3【本文サンプル】
恋に落ちる音(仮)(テーマ:背中合わせ)
ぽた、ぽた。
ぽた、ぽた、ぽた。ぽた、ぽた、ぽた。
―――何の音だろう。
規則正しい、澄んだ音色だった。
透明。クリア。
―――何て似合わない。
ぽた、ぽた、ぽた、ぽた。
―――まだいいや。
彼女は眠ったままだった。
彼女が気づくのはもう少し後のことだが、それは点滴が落ちる音だった。彼女を生かす音だった。
そこは病院の一室で、彼女は横たえられていたのだった。
ぽた、ぽた。
時々、忙しげなナースがやって来て、パックやチューブ、それと彼女の様子を見ては、すぐに去って行く。それだけだった。
部屋は静まり返っている。
壁に掛かった時計と、彼女の微かな吐息と、それから、点滴の音だけが響いている。
ぽた、ぽた。ぽた、ぽた、ぽた、ぽた。ぽた。
ぽた。
ぽたり。
―――彼女は、生きている。
作品名:【5/4 SCC】1+3-7+3【本文サンプル】 作家名:璃琉@堕ちている途中