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すずき さや
すずき さや
novelistID. 2901
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一人よりも二人(お試し版)

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 なかなかなついてくれそうもないと思ったが案外、簡単に距離が近くなって来るかも知れない。
「おごってやるからさ」
 丹波はそう言って笑いかける。
「安いっスね」
「じゃあ。大盛りでおごってやるよ」
「どっちでも良いっスけど」
「それに本のお礼もしてないし」
「感想ももらってないっス」
 減らず口を叩く赤崎を前にして頬が緩む。
「そうだったな。ゆっくり聞かせてやるよ」
「いや。別にいいっスよ」
「遠慮するなって、赤崎」
 今日の丹波さんは変だ、と言いたげな顔つきの赤崎を飽きもせずに眺めているときっと睨み付けて来る。やっぱり、キツネ顔だと思いながら見つめてしまう。
「言って良いっスか」
「なになに」
 嬉しくて大きく身を乗り出すと赤崎は露骨に身を後ろへ引いた。
「うどんがのびますよ」
「うわー」
 赤崎に意地悪く言われて慌ててしまった。
 確かに食べかけの冷やしたぬきうどんは汁を吸い過ぎて何とも言えないありさまだ。
 あまりおいしそうには見えないが、隣に赤崎がいるので普段よりおいしく感じてしまう丹波であった。
 のびきった歯ごたえのないうどんをかみしめながら次のオフを待ち遠しく感じた。

(To be continued…)