妹
学校に行くのも帰るのも何処へ行くにも。
私達は一卵性双生児で周りの人からは、
「よく、似てるね。」
と言われる事も多い。
私達はそれをとても喜んでいた。
お互いがお互いのコピーであり、自分がもう一人いるような感覚になったからだ。
でも、だからこそこの事件は起こったのだった。
私達は双子。
顔も服も体系も一緒。
だからこそ比べられた時、二人の違いが露になった時、私達は2つになってしまった。
事の始まりは中学2年生の時だった。
私達は二人とも私立中学に受かり、1年生を無事に過ごし2年生になった。
そして学期末考査を受けた。
結果は、驚くべきものだった。
今まで私達はテストの点数にもそんな大差は無かったのだが、このテストは2人の違いを大きく示していた。
私達の親はテストの結果を見比べて、怒った。
私ではない。妹の方だ。
結果は私が89点、妹が46点だった。
これには私もさすがに驚いた。
妹は帰ってきたテストを握り締め、目を見開いていた。
耐え切れず、私はどうしたの、と尋ねた。
妹は分からない、と言って私の胸に埋もれ泣いた。
なぜ、妹は泣いたのかその時の私には分からなかったが、よくよく考えてみるとそれは今までの私の言動が問題だったのだと思う。
私はよく、
「私達は双子よ、だから何でも一緒じゃなきゃ駄目なの。」
と言った。
妹の姉の期待に応えようとして、
「うん。私達は何でも一緒じゃなきゃ駄目。だって双子だもの。」
と繰り返していた。
私は軽い気持ちで言っていたのだが、それが妹のそれからの生き方を決めてしまっていた。
妹は何でも私に合わせようとしていた。
服の趣味。髪型。好きな男の子。
私はそれに気づかず、
「私達、双子だから気が合うね。」
と不必要な程に後押しをしていた。
妹はゆっくりと微笑み、
「そうよ、姉さん。」
といつも言っていた。
そうして毎日が過ぎていって、妹の中では絶対に姉の同じでなければならないという思いが強まっていったのだと思う。
だから、妹は私の胸の中で何度も何度も、
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」
と言った。
私は今までずっと双子意識が強かった。
いつでも、私達、私達と言っていた。
だから、多少の違和感は感じたが、許せない程では無かったので、妹の肩を優しくさすってあげた。
だが、問題はそこではなかった。
妹よりも私よりも双子意識が強かったのは私達の親だったのだ。
だからテストの歴然とした差を見て、妹を怒鳴った。
「どうして!?どうしてこんな問題が解けないの!?」
妹はそれを黙って聞いていた。
唇をかみ締め、分かっている、そんな事は分かっている、とでも言いたげだった。
私はそれを黙ってみていた。
妹が私の腕の中にいた時、確かに怒りは感じなかったのだ。
なのに。
どうしてだろう。
あの母親の声を聞いていると、本当に妹が許せなくなってくる。
「どうしたんだ。どうしてあいつに出来てお前に出来ないんだ。」
父親の声も混ざり、私の中の怒りはどんどん大きくなっていった。