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塚菊log

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夢と現と幻と




空が、好きだった。
大きな大きな青い空が。
何処までも果てしなく広い空を、捕まえることを夢見た。
何処までも澄んだ、限りない青空を、捕まえられたのならと。

幼き頃の、夢物語。





本日は、晴天なり。
黄金色の太陽が地上に分け隔てなく燦々と降り注ぎ、その灼熱を背中に浴びながら、今日も一心に部活に励む。
何て素敵な日常。
少しくらい休ませてくれたって良いんじゃない?
ねぇ、鬼部長?
ちらりと盗み見れば、ばっちりしっかり眼が合った。

ああ、ヤバイ。

思った通り眉間に(何時もの三倍)皺が寄った、冷酷かつ人道無比な鬼部長にグラウンド10周を申し付けられました。
別にサボってた訳じゃないのにさ。
酷くないか?この扱い。
反論すると周数が増えるから、面と向かっては言わないけどさ。
―――言えないんだけどさ。

ああ、何て遠い存在。
次元が違い過ぎるよね。


空を見上げた。
何処までも限り無く広い青い、澄んだ空。
俺の、大好きなモノ。
―――大好きだった、モノ。
手が届かない。
どんなにどんなに手を伸ばしても。
掴む事が、出来ない。
触れることさえ、叶わない。
何て遠い存在。
こんなに恋焦がれているのに。
貴方はきっと、気付きもしない。
この想いに。
視線の意味に。
―――俺という、存在すら。


視界の隅に映る、大きな広い、逞しい背中。
力強い、凛としたその姿はまるで。

近付くことさえ、叶わない。
ちゃんとそこに存在してるのに。
この眼に映っているのに。
蜃気楼のように。
近付く程、遠くなる。
そこにある姿形は、紛れも無い本物なのに。
触れることも、
掴むことも、
見詰めることさえも。


空が、好きだった。
大きな広い、澄んだ青空が。
触れるものだと、
掴めるものだと、
捕まえる事が出来るものだと、
そう、思っていた。
そう信じて、疑わなかった幼い頃。

眼を眇めて空を見上げる。
ああ、やっぱり何て遠い存在。
どんなにどんなに手を伸ばしても。
きっと手に入れることは出来ないのだろう。
それでも俺は、

恋焦がれて止まないのだ。


end.

作品名:塚菊log 作家名:真赭