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みっふー♪
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かぐたん&ぱっつんのやみなべ★よろず帳

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「あいつのことなら心配すんな、若ぇーんだからよ、しばらくフテ腐れたらまたすぐ立ち直るさ、立ち直れなくてもそのへんテキトーに、イイ感じに前向きの体で転がしといてやるよ、」
自分の演説で調子を戻したのか、おっちゃんを見上げてニッと悪い顔に銀ちゃんが言った。
「銀さん……」
涙声のおっちゃんは半纏の袖で鼻を啜った。銀ちゃんのいちご牛乳ハイ・支離滅裂語りをはなむけの言葉と受け取って、随分感慨を受けたようだった。
(……。)
とにかく背中押してもらえりゃナンでもいいのか、つくづくオトナってやつはよくわからない、あくびしながら私は思った。聞き耳に集中していて疲れたのか、あんなにお腹が空いていたのに、そのままスコンと寝てしまった。

+++

「――!!!」
次の日、おじいちゃん柄の半纏を持ってルンルンじむしょにやって来たぱっつんは、事の次第を銀ちゃんに聞かされて青い顔をしていた。てゆーか、おっちゃんが消えてただでさえ落胆著しいところにじむしょに寝泊まりしていたおっちゃんの未払いの食費と畳代、オマエの給料から天引きな、冷徹に宣言されたことにもだいぶしょっくを受けている様子だった。
「……」
どんより項垂れているぱっつんに、天パを掻いて銀ちゃんが言った。
「突然じーさんになっちまって、孫みたくお前に世話してもらうのは有り難かったけど、これ以上迷惑かけられないってさ、」
「……迷惑だなんて、」
拳を握ってぱっつんが呟いた。――いまはまだ、泣いてる場合じゃないよぱっつん、心の中で私は思った。
「いい気になってたのは僕の方です、」
顔を上げたぱっつんは眼鏡の曇りを袂で拭った。そして自分の言葉を噛み締めるように続けた。
「僕がシバキ倒したせいでマ夕゛オさん、よれよれのおじいちゃんになっちゃったのに、僕はちっともマ夕゛オさんに悪いなんて思わずに、逆に浮かれて喜んで、これでもうマ夕゛オさんはずっと僕の傍にいてくれる、おじいちゃんの脚力じゃどこにも逃げられやしないだろうって、自分ばっかり、都合のいい勝手なこと考えていたんだ、」
「……」
銀ちゃんも私も、黙って涙を耐えているぱっつんをしばし無言で見守った。……なんというか、――ウン、そんなにおじさんのことガチでラヴだったんだね、みたいな。いやそりゃだいぶ知ってたけどさ、改めてわぁ、ってイミで。

+++


「かぐらちゃん! 銀さん!!」
その朝、ぱっつんは息せき切ってじむしょに駆け込んできた。
「……ぁ?」
私も銀ちゃんも起きてまだ目が半分(銀ちゃんはさらに半分の四分の一)しか開いていない。それでもめいっぱいぱっつんをガン見すると、どこで手に入れてきたパチモンか、いかにもな汚しの入ったよれよれのマップを力いっぱい握り締めていた。キラキラと、起き抜けの瞳孔には眩しいくらいに目を輝かせてぱっつんが言った、
「おじいちゃんになってしまったマ夕゛オさんを普通のおじさんに戻すために、僕は、味噌汁にして一杯飲めば髪の毛フサフサ若返るという、伝説のワカメを探しに行きます! そしてきっと、行方知れずのマ夕゛オさんのことも連れ戻してみせます!!」

Love is continue and never end……そして少年の物語はループする。


〜何月かわからない特に晴れてもいない朝か昼か晩か真夜中に100パーセントのおじさんに出会うことについて〜 おわり