二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みっふー♪
みっふー♪
novelistID. 21864
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

かぐたん&ぱっつんのやみなべ★よろず帳

INDEX|15ページ/25ページ|

次のページ前のページ
 
(……。)
ウサ兄貴に足蹴にされたままカメはつらつら考えました。うさぎとカメか、あるいはウチに勝手に居着いてるゴリラとカメのキメラか、……ねー、メカゴリラだったらたぶんフツーにかわいいのにねー……ってイヤイヤ、ボクはどうやらまともな判断能力を失っている様子だぞ、だいたい決めるのは姉上だ、ボクがどうこう言ったところでどうなるものじゃない、
「本当に、生写代はカンベンしてくれるんですねっ」
意を決したカメは力強く確認をとりました。
「……キミは話のわかる奴だ、」
にっこり笑ってうさ兄貴が言いました。拘束を解かれたカメは、えっちらおっちら、うさ兄妹を家に案内しました。なんとなく成り行きで天パのおっちゃんもついていきました。
――かくかくしかじか、家に帰り着いたカメは、客間で姉上に事情をせつめいしました。
「ふざけてるの?」
――にっこり、こちらもウサ兄貴に劣らぬスマイルを浮かべて、上座にきっちり膝を揃えた姉上が言いました。――いいいいいやボクはっ!! ドスの利いた殺気を感じてカメはアワアワしました。
「いやだなぁお姉さん、僕は真剣ですよ、」
臆することなくうさ兄貴がしっかと姉上の手を取りました。
「……」
姉上はあらという表情でまじまじウサ公兄を見つめました。兄貴はにこにこ愛想よく笑い返しました。
「そうね、よく見るとなかなかカワイイ顔してるわね、」
姉上がまんざらでもなさそうにぽつりと言いました。――ええ?! マジこの展開でギリの弟になんのかよボク?! カメはすっかり気が動転していました。そこへ、
「ちょっと待ってくださいよー!!」
植え込みに潜んでいたゴリラが、ダンガリーシャツ着たイケメソの北京原人(←まにあっくモノマネ)をやりながら出てきました。
「君ッ、どういうつもりだそのけーはく不埒な手を離したまえ!」
ゴリラさんの鼻息を見て、ウサ公にーちゃんは歯牙にもかけず涼しげに笑いました。
「悪いけど、君じゃ勝負にならな……、いや待てよ、」
しばらく考え込んでいたウサ公にーちゃんが、せんべい座布団を立ち上がってぽんと手を打ちました。
「そうか! ゴリラとカメからだと、突然変異でガ○ラが生まれるかもしんないっすね!」
「えぇ?」
姉上がキョトンとウサにーちゃんを見上げました。ウサ兄ちゃんはニカッと笑って言いました。
「いやぁ、そっちのがよりキョーアクっすよ!」
「はい?」
事情が飲み込めていない姉上を置き去りに、
「じゃっ、ザンネンですけどおねーさん、とりあえず今回はそゆコトで!」
うさにーちゃんはしゅたと手を上げて縁側を下りました。お茶請けのすこんぶを持てるだけ持って妹もいそいそあとを続きました。
「……あらあら、」
うさ兄妹の後ろ姿を見送ってしまうと、頬に手を当て、ため息まじりに姉上が言いました。「なんだか弄ばれちゃった気分だわ」
「ちょっ、ちょっと俺ヤツに意見してきましょうかっ」
憤慨したゴリラさんが立ち上がりかけたのを制して姉上が言いました。
「いいんです、相手は若い子ですもの、心変わりもありますわっ。……そういうわけで、今夜は私の心のスキマを埋めに、がっつりボトル入れに来て下さいねっ」
「ハイッ!」
ゴリラさんが直立不動で敬礼しました。
「……。」
――立ち直り早っ! てかまじでヒドイや姉上……。我が姉ながら露骨な商魂っぷりにカメは眩暈を覚えました。
「……」
なんとなくくっついてきたものの、特に出番もなかった天パのおっちゃんもとんだムダ足だったなと思いつつ玄関を出て帰りかけました。
ちょうど道の真ん中で、ダンボール抱えたグラサン姿のおっちゃんにウサ公兄妹がわらわら懐いていました。
「ねーねーおじちゃん、今日はパンの耳ないのーっ」
おじちゃんのよれよれの半纏の襟をガスガス揺すってウサ妹が訊ねました。
「きょっ、今日の上がりはこれしかないんだけどね……」
おじちゃんが懐から出してきたひからびたパンのきれっぱにウサ妹がものすごい勢いでがっつきました。せっかくのごちそうを奪い取られた格好にも、おじちゃんは別段腹を立てるでなく、まっくろなグラサンの下に目を細めてそれを見ています。
「……そうだおじさん、こんどボクらをおじさんとこの養子にしてよ、こっそりおじさんにほけんかけていつの間にか受取人になってたりしないからさぁ、」
――ぜんぜんあんしんしていいよ! ウサ公兄貴がおじちゃんの猫背の肩を揉み揉み、へらへら笑って言いました。
「それがいいアル、私ぜいたく言わないね、パンの耳だけじゃなくて、たま〜にかぞくそろって食パンのやらかいところも食べられたらそれでしあわせアル、」
ウサ公妹がうっとりヨダレを垂れて言いました。
「そっ、そーかいっ?」
きゃっきゃするウサ兄妹に囲まれて、グラサンおじちゃんはすっかりふらふらのグダグダです。
「……。」
――あの人もアブネェな、なんせ家族愛に飢えてるからな、天パのおっちゃんは遠くから眺めて思いました。
さてさて、そんなこんなでチンタラやってる間に最終レースもすっかりハネてしまいましたので、今日のところはけいばはやめてすろっとで一山当てんともくろんだおっちゃんでしたが、結果はいつも通りさんざんでしたとさ、おしまい♪