二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みっふー♪
みっふー♪
novelistID. 21864
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

かぐたん&ぱっつんのやみなべ★よろず帳

INDEX|4ページ/25ページ|

次のページ前のページ
 
「?」
ファサファサの髪を揺らしてぱっつんが首を傾げた。ぱっつんの顔を覗き込み、力強く頷くと才力マは言った、
「アタシと一緒に、女装子ユリごっこをやりましょう!」
「……。」
私は持っていたすこんぶチップスをぜんぶ床にこぼした。銀ちゃんは何食わぬ顔でずり落ちた椅子の足元からよいしょと立ち上がった。
「……オマエはアレか、真剣にアホなのか?」
近年稀に見る引き攣ったマジ顔で銀ちゃんが才力マに問う、
「そーよアタシはエヴリタイムいつだって真剣よッ!」
相手の発言の一部分だけを意図的に抽出して才力マはつらつら述べた。
「……じょーだんじゃないアル、こんなデムパのどーらく趣味にぱっつんが付き合うことないね、」
私は才力マ改めΛン夕イが握り締めていたぱっつんの手を奪い返すように引き剥がした。掴み寄せたぱっつんの腕はあまりに非力で頼りなくて、――うううぱっつん、こんなになまっちろいひょろひょろのうっすい手になっちゃって、私は……、私はッ……!
が、そのとき私の耳に飛び込んできたのは思いがけぬぱっつんの言葉だった。
「いいですよ僕は」
「本当かっ……」『ええっ!?』
色めき立つ才力マの台詞にかぶせてヤツを押しのけ、ぱっつんの周りをぐるり取り囲むように銀ちゃんも私もあんぐり口を開けてマヌケ面キープすること数秒、くすりと肩を揺らしてぱっつんが言った。
「いいかげん、塞ぎ込んでたってしょうがないし、何か思い切りバカなことやって、気分が晴れるならそれもいいじゃないですか、」
「そう! それよぶっちゃけアタシが提案したかったことはッ!」
図々しく這い上がって来たドヤ顔をヅラごとぐしゃあと踏みつけて、腕組み姿に銀ちゃんが言った。
「――わかった、オマエがそこまで言うなら協力してやる。連中が女装子なら、ネ申楽、ボクっ娘やってやれ」
「えー、何あのピンクの学ラン着んのーっ?」
急にお鉢が回ってきた格好に体裁を取り繕いつつ、案外ノリ気のお茶目な私であった。
「……かぐらちゃん、銀さん、」
感極まったのか、ぱっつんは下を向いて目元を拭った。
「……、」
と、ソファ下の床にドベらされていた才力マが、むくりと起き上がって口を開いた。
「でね、さしあたってひとつモンダイがあんだけどっ」
「……。」
実際問題すげー鬱陶しかったけど、ここはぱっつんのためと割り切って私と銀ちゃんはとりあえずヤツの話に耳を傾けた。ハキハキと才力マは言った、
「ほら、ワタシはロンゲ、シンパチくんも伸び放題のロンゲ、二人とも黒髪ロンゲじゃ絵ヅラ的にもたないじゃない? この際どっちかがばっさりヘアスタイルチェンジ……」
「ヅラなんだからお前が被り直せばいーだろ、」
私と銀ちゃんはヅラのヅラを思きしぐいぐい引っ張った、
「痛い! 痛いからマジでヅラじゃないからうぃっぐだから!」
ヅラを押さえてヅラが喚いた、
「……こいつけっこーよゆーあるアル、」
いよいよ本腰入れてヅラを剥がしにかかっていると(その間着ぐるみ攻撃のガードはサダちゃんが引き受けた)、
「二人ともやめてあげてよっ、」
ぱっつんの制止が入った。振り向いた私たちに、
「こんなんじゃほら、どーせボク切らなきゃなんないんだし、」
「……。」
洒落乙ロンゲと言うより、確かにむしろ無人島漂流者のソレをちょっと摘んでみせて照れ臭そうにぱっつんが言った。納得した私と銀ちゃんはヅラのヅラから手を離した。
「……んもー、ホント野蛮な人たちなんだからー……、今度からエクステンションですって言おうっと!」
ヅラがまだ何やら気の利いたつもりのことをブツブツ宣っていたが、私たちは聞こえなかったふりをした。
紆余曲折、いざ女装子ごっこに入る前に、皆でぱっつんの断髪式をやった。
――ジャキン、ジャキン……、
おふろ場で肩に纏ったケープの上に長い毛束が落ちていく毎、ぱっつんの心に凝り固まっていた垢も削ぎ落とされていく。
「――ヨシ、」
すっきり短髪に戻って身もココロも軽くなったぱっつんは、もはや何の必然性もなくなった女装子ごっこを、
「やっぱすいませーん、」
エヘヘといちおう申し訳なさげに頭を掻いて、あっさりキャンセルするに至った。
「!!」
最後の一歩で念願叶わず、ドン底に叩き落された才力マのしょっくは計り知れない。同情する気はこれっぽっちもないけれど。
そして実は何を隠そう、ホントは私もちょっぴり、いやだいぶかなりの確率であのド派手なピンクの学ランを着たかったのであった……、ティヘッ☆
(……そういや銀ちゃんは何やるつもりだったんだろう、……つかオッサンてさー、何だかんだ言いつつアレけっこうキライじゃないよねーっ。)


〜どらぁぐ・くいーんはみな踊る〜 おわり