二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
みっふー♪
みっふー♪
novelistID. 21864
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

かぐたん&ぱっつんのやみなべ★よろず帳

INDEX|6ページ/25ページ|

次のページ前のページ
 
「――アンタの……、アンタのせいで僕は……、ボクは……っ、ファーストばりの眼鏡への執着みせるわレベル7どころじゃない精神汚染起こすわセカンド並みに激やつれするわ、あげくギガ盛りサービスサービスぅ☆でリバウンドするわとにかく大変だったんだからなっ!」
「すまなかったな、シンちゃん……」
シブい声に返したおっちゃんは、――すちゃ、グラサンの位置を軽く中指に持ち上げた(※よーに見えたのはぱっつんのマボロシであって、いっけねぇ〜、おっちゃん後ろで手ェ縛られてる設定なんだったティヘッ♪とかゆーうっかりミスなんかじゃ決してありませんよ念のため)。
「――……!」
――ばかばかぁ、マ夕゛オさんのバカァ、ぱっつんはおっちゃんの胸を拳骨でガスガス叩いて泣いて縋った。後ろ手に縛られているおっちゃんは、……イヤ本当に申し訳ありませんでした、ゲホゲホむせながら声を絞って何度も詫びるばかりだった。
「……これでいーアルか?」
私は隣の銀ちゃんに訊ねた。――まっいーんじゃねぇの、役目は終わったとばかり銀ちゃんはかったるそーに大あくびした。
「……――ボク、」
おっちゃんの胸から顔を上げてぱっつんが言った。ボコられ放題だったおっちゃんは、心なしか少し縮んでおじいちゃんになったように見えた。
「ボク、今ならマ夕゛オさんのことを心から踏めます! お願いです、踏ませて下さい!!」
「ぇえっ」
――いっ、いまぁ? マジ? その体重で? ……ちょっカンベンしてくれよォ、顔面蒼白のおっちゃんのグラサン越しの視線は泳ぎ、必死に救いを求めていたが、何事も因果応報である。
衆人環視の中、おっちゃんはぱっつんの前で床に這いつくばらされた。
「……じゃあ、行きますよっ、」
ぱっつんがよろよろ足を上げようとした。しかし、自重を支えて立っているのもやっとなのだ、ほんの数ミリ、床から浮き上がる程度しか動かせない。
「むっ、無理しなくていーんだよっ」
おっちゃんは低姿勢に愛想笑いを振りまいたが、ぱっつんの気は収まらない。
「いいえ踏みますっ、これは僕のマ夕゛オさんへの愛の踏み絵なんだっ!」
「……。」
――そっ、そーかい……、おっちゃんは諦めたように首を垂れた。私は思いついて提案した。
「おっちゃんがぱっつんの足持ち上げて、自分で頭に乗せればいーアル、」
「なるほど! ないすあーいでぃあ!!」
銀ちゃんがわざとらしく手を打った。完全に面白がっているパターンである。
「わっ、わかりましたよ……、」
――やればいーんでしょやれば、後ろ手縄を解かれたおっちゃんは渋々ぱっつんの、どこが足首かわからないがとにかくアタリをつけてえいやと持ち上げようとした。しかし結果は同じだった。とにかく重量ハンパないのである。
「どーだいオッサン、あんたにその重さの意味がわかるかい?」
ゼェゼェ言ってるおっちゃんの背中に、銀ちゃんがしみじみ語りかけた。
「……」
おっちゃんは背を丸めて聴き入っている。調子を上げて銀ちゃんは唸った、
「……こいつの腹だの顎の下だのにタプタプしてるのは、あれは脂肪でも採りすぎた炭水化物のなれの果てでもない、アンタを想ってまるまる肥えたこいつの身体そのものが、アンタへの愛のカタマリ肉なのさ!」
自分でもおそらく何を言っているのかわかっていないに違いない。完全に悪ノリである。だが、この際決して悪いノリではない。
「ちゅーぅ、ちゅーぅっ☆」
私は手を叩いてはやし立てた。おっさんの悪ガキぶりっこ続行で銀ちゃんも横からガヤを入れた。無敵のろーてぃーん少女&恥も出世もモテ人生も捨てたおっさん、自分で言うのもなんだが、かなり性質の悪いタッグである。
「……えぇっ」
グラサンの脇にダラダラ冷や汗かいてマ夕゛オのおっちゃんが振り向いた。私と銀ちゃんは仁王立ちの腕組みで顎をしゃくった。
「……。」
脅迫含みで促されたおっちゃんが、重量を支えてかろうじて二つ足で踏ん張っているぱっつんの足元に再び目をやる。
ぱっつんは何も言葉を発さないまま、黙っておっちゃんの後ろ頭を見つめていた。
「……ぅぅ、」
四つん這ったマ夕゛オのおっちゃんは一瞬怯んだ。が、覚悟を決めたように深く屈み込み、豚足の蹄にそっと愛の下僕の証を口づけた。
「――、」
私と銀ちゃんは拳を固めて息を飲んだ。何かとてつもなく神々しいものを見たような気分でさえあった。そしてそのとき、世界は確かに革命された。
「こンのセンチコガネ野郎――――――っっっ!!!」
――はーははは! 建て付けの悪いガラス戸を揺るがすぱっつんの高笑いとともに、ぴしぃ!どっから手元に湧いて出たのか、とげとげいばらのぐりんがむのムチが風切り音を撓らせてじむしょの空を舞う。
……長い長い愛の放浪の果て、辿り着いた深淵の森、その先に彼が見た風景を私はまだ知らない。また特に知りたくもない。


〜片道ワンウェイの森〜 おわり