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銀魂高校 Part 1

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銀魂高校















晴天の午後。3年生Z組は体育で教室は着替えの散乱した机とカーテンの隙間から入る日光が薄暗く室内を照らしている。

キンコーン.......

終業の鐘の音の後にそれに反応したように布がすべる音がした。



「.....あ、授業終わりだわ....起きて、土方君」



「....ん?あーもう時間か。こうしてると時間経つのがやけに早ぇな。」



無人のはずの教室で床に寝転がっていた青年が気だるそうに起き上がる。艶のある黒い長めの前髪をかき上げながら落ちていたシャツに袖を通す。引き締まった体に切れ長の目をした

この青年は3年Z組、剣道部副部長、男子から尊敬され女子には寄せ付けないオーラを放っているからか目立つ行動はないが隠れファンがかなり多いと噂される土方 十四郎だ。

シャツのボタンをとめず開かれたまま彼は左胸ポケットに入っているタバコをおもむろに取り出し火をつけようとしたが、隣にいた人物がすばやく彼の口からタバコを取り上げた。



「もう!何度いったら分かるの?未成年&校内での喫煙は校則違反よ。」



「...わ~ったよ。ったく、これだから風紀委員ってのは...。」



夏物のセーラー服のスカートのファスナーを閉め、乱れた髪を結い上げている少女の名は志村 妙。3年Z組、成績優秀、明るく周りからの人望も厚い。顔立ちや体型からか男子の人気は抜群に高い。

それでいて風紀委員という仕事に対して厳しく彼女が苛立つときは何か黒いオーラが愛くるしい笑顔の裏に垣間見る。この有名な二人がかなり仲が良いという噂はあるが実際付き合ってはいないらしい。

誰に対しても堂々と物を言う彼女の周りには悪名高い同級生や問題児の後輩など幅広く親しい。



「っつーか、風紀委員のくせになんで一緒にさぼってんだよ。しかも...」



「あら?私はただ具合が悪くて保健室行こうと教室の前を通ったらあなたがサボろうとしてたから、それを注意してただけじゃない。」



「ふ~ん、注意、ねぇ...」



身支度をしながらシレッと言う彼女に疑いの視線を向けそのまま後ろから彼女の華奢な背中に引き寄せられるように抱きしめた。彼の唇が先ほど自分が何度も

触れたように彼女の首筋を這い、両手でまだ上着を着ていない下着だけの彼女の胸元を包み込んだ。



「....どうしたの?」



「風紀委員さんの注意ってこういう事すんじゃねぇの?さっきみたいによ...」



次第に彼の手に力と熱が篭っているのが伝わる。



「人、来ちゃうよ」



「関係ねぇ...」



聞く耳持たず彼は彼女の肩に掛かっていたブラの紐をずらそうとした、が、妙はその手の甲をぎゅっと摘み上げた。



「痛っ!!!!痛ってぇ...おま、何しやがる!」



「早く着替えなきゃ部長の近藤さんにばらしちゃうわよ?」



「!!.......ったく、手加減ねぇな。」



「分かればいいの。」



にこりとさわやかな笑顔で言い、着替えを終えた妙は立ち上がり窓のほうへ向かった。そっとカーテンを開け空を見上げる。



「良い天気.....あ、剣道部、放課後顔出すね!」



「あ?何かあんのか?」



「今日は新ちゃんと一緒に夕飯の買い物して帰るの」



「あぁ、新八か」



「くすっ、がっかりした?」



「バ!!バカヤロ!!何で俺が....!」



真っ赤になって否定する彼とくすくすと可愛らしく笑う二人の姿は後から戻ってきたクラスメイトが見ればまさにお似合いのカップルだろう。



放課後。

妙はすれ違う友人に挨拶をしながら剣道部が練習している体育館へと向かっていた。途中職員室前で同級生だがクラスは違う桂 小太郎とエリザベスに出くわした。

桂と妙は共通の友人を通して知り合って以来、それほど親しくもないが彼の真面目だけどどこか原点からズレた考え方が面白いとも思える。借りていた恋愛シュミレーション

ゲームを返し、世間話をした。



「ごめんなさいね、そのゲームの女の子達なんだかムカついてちょっと力んだら壊れちゃった。」



「壊れ...?壊しちゃったじゃ..」



「何か言った?」



「あ、いや。こういったゲームはいかに相手の裏をつくかがポイントとなる。私のように慣れるには時間が掛かるからな。そういえば志村君、銀時を

 最近見かけないのだが..?」



「.....そうね、昨日も今日も休んでいるわ。部活にも来てないみたいだし...。」



「そうか...志村君には会いに来ているかとおもったが...。実は高杉が退院してな...」



「え?!高杉君が!?怪我はもう大丈夫なの...?」



ガラッと隣で職員室のドアが勢いよく開かれ、そこには背の高い襟元を大きく開け左目に包帯のあるどこか危険な空気と色気を漂わせる青年がこちらを見下ろしながら立っていた。



「よぉ、妙。久しぶりだなぁ?」



「高杉君...」



彼の背の向こう職員室内で教師の一人が何かまだ言いたそうに呼びかけていたが彼は気に留めることなくドアを閉めた。その場で堂々とタバコに火をつけ桂のほうに煙を

吹きかける。



「おい!貴様ここは学校だぞ!今すぐ消せ!」



「ズラぁ、相変わらず頭が固いねぇ。こっちはまだ病人だぜ?少しは甘やかしてくれよ」



「病人ならなおさらだ!」



怪我、と思われる左目を覆っている包帯をさすりあざ笑う高杉の挑発にまっすぐぶつかる桂をそばにいた妙が制止した。



「桂君平気。...高杉君タバコ吸うならもう一度この職員室のドア開けて今度は退学手続きしてもらう?」



そういって妙はすぐに彼の手からタバコを取り上げゴミ箱へ投げ捨てた。



「相変わらず気が強ぇなぁ、妙。口元の寂しさはお前に紛らわしてもらえるって..か」



「いい加減にしろ高杉!」



桂の制止むなしく高杉はかがみこみ妙の唇と自分のを合わせた。意外にも彼女は素直に目を伏せ受け入れていた、まるでこうするのが当然のように。



「向こうで話そう...」



唇がわずかに離れた瞬間にすばやく妙は言った。彼女と視線を合わせたまま彼は口元でうっすら弧を描き廊下を歩き出した。



「だってよぉズラ、んじゃーな。」



「ズラじゃない!桂だ!!」



「....桂君、部活でしょ?後で体育館行くからそのときまた...大丈夫だから...」



「....まぁヤツは今日は欠席だしな..。分かった。後で出会おう。」



しぶしぶ了承し桂は反対方向の体育館へ歩き出した。振り返ると先には懐かしい自然体で何か会話をしながら去って行く高杉と妙の姿があった。



「......銀時....」









To be continued.....















作品名:銀魂高校 Part 1 作家名:Lulian