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嘲笑って、ひとりごと

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俺へ。死にたくなってませんか?自分の事はよく分かってるつもりやからこの手紙の存在を覚えているかも分からんし見つけても酷いとそのまま文字通り千切って捨ててしまうかもしれませんが必死に書いてます。今なんの時間だったか覚えていますか?そう、授業。中学校の道徳の授業の一環、ってやつやな。未来への自分への手紙。何年後でもいいから書けよと担任は趣旨だけ告げるとさっさと自分の仕事は終わったかのように出て行ってしまって自習状態。みんな喋るのは勿論マンガ読んだり黒板に落書きしたり。あ、今そう書こうと思って黒板見たら前の席の女子のスカートめくれてた。俺は告げない、そりゃあ勿論。だけど一般的男と違うのは俺はとやかく言われるのが嫌いだからだ。そりゃあスカートの中に興味がないと言ったらウソになるんだろう。でも興味と言ってもいわば「野次馬」みたいなもの。そんな事より、そんなことより今英語の授業でてんやわんやしてるであろう謙也さんの顔の方がよっぽど見たい。会いたい。毎朝顔見てたやろうって今思ったやろう?答えはノー、毎日会ってるからこそ、と思ってた自分、思い出されへん?

きっと見も出来ない単語帳片手に慌てている事だろう。何が将来のお医者様やねん、それやったら将来俺と娶れ。…これボールペンで書いてるからこのまま書き続けてるけどめっちゃ俺は真面目や。馬鹿だと言われてもいい。まあ、英語は関係ないからその点については謝っておくので許してほしい。
こんな事書いても決してこの文章が謙也さんに届くわけでも伝わるわけでもない。でももう抱え込むのはたくさんだった。つらかった。違う、辛いんだ。現在進行形。こんな想い当たり前やけど簡単に相談するわけにはいかへんし第一もし俺が何言われても構わなくても謙也さんの事で何か言われたら俺は何をするか…まあ、こんな妄想しない方がええな。そんな事はありえないのだから。
そうそう、今日は×月×日なんやけど、丁度想いを告げて三ヵ月になる。対して恋なんかしてないのにこんな難しい恋を与えたかみさまには怒っていいのか感謝していいのか。少しずつ謙也さんからの気も感じて、それでも自意識過剰なだけだったらと勉強の単語も何一つ入らなくなる。ふと見るといつも通りの言動にちょっとだけ笑顔を添えるだけでよかった(のかは断定は出来ないが)謙也さんとは違って俺はもっと進展したかった。だからもどかしい恋にもどかしい想い重ねに重ねるなんていやで、
「好き 謙也さん好きなんです」
と意を決して告げたあの日の事は忘れることはないと思いたい。あの時の天気は覚えていますか?どこで告げたか覚えていますか?

俺もずっと好きやったと聞いた時には嬉しいのか安心したのかよく分からなくて俺は生まれて初めて真っ直ぐ倒れた。そこが芝生、なわけはなくて(覚えてる?)、放課後の廊下のコンクリートの上。俺は気絶こそしなかったが解放された想いも混ざって暫く立てなかったのは記憶しているけどそこからは曖昧や。あ、担任戻ってきた。どうでもいいことひとつ書いておくと俺の席はど真ん中で前から二番目なんやけど、そこからでも煙草の臭いが鼻をつく。担任が吸ったんやろうな。…もう五分やって。早。俺、他の事何も書いてない。裏を返せばそれだけあんたの事しか想ってないってことや、謙也さん?

今は付き合っているけれど離れなければならない事になるだろうというのは理解した上で俺は拒否しようと思う。それでも迫るエックス・デー。笑ってからかってた様にでも見せかけて謙也さんにどう言い詰りましたか?今の俺は子供やからそんな事考えてしまった今は怖くて辛くて憎いです。俺の事やから感情はすらすら出してしまうんやろうけど、後悔してませんか?今、俺は後悔しました。さようなら。
作品名:嘲笑って、ひとりごと 作家名:灯子