ロックマンシリーズ詰め合わせ
06/レトロ (ロックマンX)
自分たちが第一線にいる、ということに、時に愕然とする。
だってそうだろう。自分たちが造られたのは、遥か100年も前のことなのだ。
しかも、今在るすべてのレプリロイドは、最初に「発見」されたエックスを基本として造られている発展系だ。
それなのに、未だ、自分たちを完全に越える作品が現れていない。
ハードはともかく、ソフトは……恐らく、最初のレプリロイドから、わずかも前進していないのだろう。
そうではないと否定する声は自分の中ではあまりにも小さく、やはり、仕方ない、と諦める思いに押し潰されて、最初からそんな考えは欠片も存在していなかったかのように、沈んでいってしまう。
ずっと、そうだったから。「もうお前たちは古いのだ」と言われて……正直、ほっとしたのだ。
古くなったのだから。もう自分たちは必要ではないのだからと、どこかで言ってもらいたがっていたのだ。
もういいと、誰かにそう言って欲しかった。でないと、いつまで経っても自分「たち」は抜け出せない。
もういいと、誰かが言ってくれれば……この無間地獄のような苦しみから、少しでも救われるのはないか、などと考えていた。
解き放って欲しい。執着という名の悪意で紡がれた、この檻から。
解き放って欲しい。自分ではどうにもならない呪われた存在意義から。
彼を。
いつまでも、運命という言葉で片付けたくなんて、ない。すべてをなかったことにして、まっさらになって、彼と向かい合いたい。
だから、誰かに言ってほしい。自分たちは、もう古いのだからと。
だから、実感させてほしい。自分たちは、もういらないのだと。
だから、思い込ませてほしい。自分たちは、もう自由なのだと。
だから、どうか。
もうこれ以上、何も起こってくれるな、世界。
作品名:ロックマンシリーズ詰め合わせ 作家名:物体もじ。