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銀魂高校 part2

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空は既に濃いオレンジ色で目の前の窓辺に立つ男の黒髪を血が滲んだ様な赤に染めている。片方しか無い瞳は若草色だったような気がするが
今の彼の瞳は熱を帯びて赤く燃えるような眼に見えてしまう。何度もこうして夢中で抱き合っていた時がふと過ぎり切なさで胸が痛んだ。

「.....っ....ね....待って...話...あるで..しょ...」

彼女が彼を止めようとしても彼は片方の腕だけで彼女の動きを止め熱い抱擁を続ける。

「た...高杉君....聴いて......」

「........何んだよ?」

耳だけ傾けながら彼の手は彼女の体のラインを確かめるように這ってゆく、亜麻色の髪からは前と変わらずジャスミンのような香りがして滑らかな手触りを
楽しむ。熱で汗ばんだ白い肌はいつもより妖艶で綺麗な鎖骨のラインを辿ってはだけた上着の胸元にたどり着くと、自分ではない他の誰かが咲かせた赤い蕾が
小さく残っていた。

「あの....3ヶ月前...あれは...どうして銀さんとケンカしてた..の..?」

「.............」

「...ね、ちゃんと話したい.....あんなに仲良かったのに.....一体あの日何が....どうしてあんなことに...?」

「...仲良かった....ね。フン、笑えるねぇ。だとしたらそれを壊したのはあいつだぜ?」

「...どういうこと..?..」

「.............それも.......裏切りってやつでなぁ...!」

「痛っ!!」

突然の痛みで胸元を確かめると赤い痕の上を爪で引っ掻かれ血が滲んでいる。

「俺がいねぇ間にずいぶんと威勢の良い虫がついちまったみてぇじゃねぇか。なぁ妙?」

血のついた自分の爪をニヤニヤと眺めるが眼は少しも笑っていない。

「銀さんに会ってあげて欲しいの...。」

「こいつの原因が銀時だってぇんなら挨拶ぐらいはしとかなきゃなぁ。人様のもんに手つけるなんざいけねぇぜ」

「違うわ。..............あれから銀さん元気ないのよ....学校にもあまり来なくなっ.....」

妙がいい終わらないうちに彼の唇でふさがれた。激しく求められただ受け止めるしかなかった。

「......抱きてぇ....」

「.....人の了解得る気なんて無いくせに...。」

彼はいつも気まぐれだった。突然現れては消え、優しかったり冷たかったり(基本的に冷たいが...)、そして常に自分の欲望に正直だった。こうして体を求める時も相手の気持ちなんか
気にしない。特に今まで遊びで抱いてきた女達など向こうに気持ちが無い方が都合がよかった。どうせそれ以上の関係は面倒なだけだから。

体は触れ合うほどに熱く夏の夕焼けをも溶かしてしまいそうだ。あまりにも切望していたのか、あの痕が気になるのか、前よりも乱暴で余裕がない。
妙は激しく揺さぶる彼にしがみつきながら彼を見上げる。まだ見慣れない隻眼。熱い息づかい、早い鼓動、数か月で更に痩せた体からは想像できないほどの
力と喰らうような目つきに溺れて抜け出せない...。




「よぉ~し!これで以上だ!都大会レギュラーメンバーはこれから毎日練習だぞ!!皆気合い入れていこう!!」

体育館に響き渡る声の中練習に勤しんでいるのは強豪と名高い銀魂高校剣道部。一人高校生にはとても見えない野性的な体系と顔つきで支持を出しているのが
この部の部長、近藤 勲だ。隣には静かな顔して立つ副部長の土方。そして去年入学し1年にしてレギュラー入りのスーパールーキーと呼ばれる沖田 総悟
がたった今発表された都大会練習メニューを確認している。

「あれぇ?近藤さん、このチアリーダーとの合同会議って何でさぁ?そもそもうちにチアなんていやせんぜ?」

「何言ってるんだ総悟!チアリーダーといえば妙さんに決まっているだろう!!」



その言葉にブッと後ろで噴出したのは彼女と関係のある土方だ。妙との噂を部長近藤は知らない上に誰も気の毒で土方とのことは本人含め誰も伝えていない。



「へぇ~知ってやしたか土方さん?」



嫌味らしく言う沖田は土方の焦る反応を楽しんでいる、彼の日課は打倒土方で常に副部長の座を狙っている。



「あ、あいつは委員会とかいろいろ忙しいんじゃねぇか....。」



「近藤さん、そんな回りくどい事やめてさっさと手つけておきゃいいんすよどっかの誰かさんみた...!!」



沖田が言い終わる前にすばやく土方が口を塞いでごまかした。



「いやぁ、妙さんは恥ずかしがり屋だからなぁ!なかなか一緒にいる時間を作るのが難しいんだな。」



「へぇ、誰かさんとは授業サボってXX...!!」



またも言い終わる前に土方に捕らえられズルズルと沖田を引きずって行ってしまった。



「まったくうちの部は仲が良いなぁ!お!新八君!!弟よ!調子はどうだ?」



「誰が弟ですか....」



背の低いまだ一年の妙の弟志村 新八は剣道部に入部し腕はまだまだだが真面目で面倒見のいい性格からマネージャー的な存在でもあり

皆から可愛がられている。



「皆さん都大会も近いと気合が違いますね。レギュラーも部長、副部長、桂さん、沖田さんに...あ...」



新八が何かに気づいて言葉をとめる。



「あの....銀さんは....銀さんは今回の大会には出ないんですか?」



「う...う~む.....あいつは戦力ではあるが最近のあいつは部長として試合に出すわけにはいかないな。まぁ...本人も出る気はないだろうが...。」



「そうですか........銀さん、いつになったら戻ってきますかね....」



「まぁ.....そのうちふらっと帰ってくるさ、あいつは。」



落ち込んだ新八の頭に手を置き近藤は励ましその当人を思い浮かべた。やる気のない態度、寝癖のような天パーに死んだ魚の目、近藤の大好きな妙に

対する馴れ馴れしくする上にサボり魔。そのくせ剣道はおそらく部一の腕でなぜか人を引き付ける何かを持った男。



「坂田.....お前何してんだ....」






to be continued...

























作品名:銀魂高校 part2 作家名:Lulian