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魔法少女リリカルマギカ(第1話)魔法少女大決戦(改)

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これ以上の魔獣の探索や、余計な思案は、
時間の無駄になると考えたマミが提案する。

『じゃあ、明日に備えて今日の魔獣パトロールはお開きとしましょうか。』

『ええ。私も異論なし。』

『ああ、そいじゃ、明日な!』

ほむらは自宅に帰ると、簡単にシャワーを浴びてから、
ベッドに潜りこんだ。

『明日の件もあるし、少しでも、眠らないと。』

眠りに落ちる瞬間一つの疑問が、ほむらの頭の中に浮かび上がった。

『サイコクリスタル。
 キュゥべぇはサイコクリスタルと確かにそう言ったわ。
 なぜ、キュゥべぇは、
 あのロストロギア(古代遺物)の名称が、
 サイコクリスタルだと知っていたのかしら?』

しかし、この奇妙な疑問からは、大して危険なにおいは、感じないと、ほむらは思う。

彼女の長年の直感がそう告げていた。

『たいした問題じゃないのかも。
 今度、キュゥべぇに直接聞いてみようかしら。
 案外、笑い話のたぐいかもしれない。』

実際そうだった。ほむほむは、賢いな。
( 第2章 サイコクリスタルの解説参照のこと。 )

◇◇◇◇◇

浅い眠りの中で、ほむらは、不思議な夢を見た。

とても深い、深い、深い闇の中、ほむらの前に一人の女性が立っていた。

彼女は黒い服装を着ており、美しい銀色のロング・ヘアーをしていた。

さらに女性は、何かを祈るようなポーズで、目はとじており
どこか人間とは違う気配をもっていた。

しかし、ほむらは、その女性からは、深い慈愛の心と、
そして、やさしげな、あたたかさのみを、感じていた。

彼女は口を閉じていたが、ほむらの心には彼女の声がはっきりと響いてきた。

『どうか、忘れないで。』

『いつも、どこかで、誰かが、あなたのために、戦っている事を。』

『あなたが、彼女の事を覚えている限り、
 あなたは、ひとりではありません。』

次の瞬間、女性の姿は消え、ほむらの目には、何かの映像が見えてきた。

それは、映画を見せられているようでもあり、又、夢を見ているようでもあった。

どこの場所かも分からぬ、広大な砂漠のような場所。

そして、ほむら達が2ヶ月前に戦った巨大魔獣以上に、
おそろしく巨大な魔獣の群れが、砂塵の中をどこかへ向かって進行していく。

その魔獣たちは、平均で全高80メートル、
大きいタイプで100メートルはありそうだった。

その、巨大な魔獣の群れの前に、一人立ち向かう者がいた。

それは、この映像を見ている、ほむら自身であった。

『あ、あれは私?
 これは、未来の光景なの?』

ほむらは、疑問を口にするが、
先ほどの女性の声は聞こえず、彼女の疑問に答える者はいなかった。

映像の中のほむらは、背中から魔力エネルギーの翼を展開し、
その後、一瞬なぜか、微笑んだような表情を見せる。

そして魔力の翼をさらに巨大化させて、魔獣の攻撃を防御しながら、
そのまま空中に飛翔し、高高度から巨大魔獣の群れに対して特攻をしかけ、
その巨大魔獣の群れさえ飲み込む、巨大な魔力爆発を引き起こした。

それは『今現在のほむら』でさえ所有していない未知の能力だった。

しかし、ほむらが将来いかにパワーアップを果たしたとしても、
そんな無謀な戦い方を繰り返して魔力が持つ訳がなかった。

やがて、映像の中のほむらは力尽き、砂漠に倒れこんだ。

しかし、どこからか光輝く人影が、出現し、残った魔獣を消滅させた後、
倒れたほむらを抱きしめ、こう言った。

『 がんばったね。 迎えにきたよ、 ほむらちゃん。 』

その周囲にも多数の光が出現し、二つの存在を見守るように輝いている。

そして人影と倒れたほむらの体は、強く光輝き、一つに溶け合うように消えていった。

『あれは、いったい?』

ほむらの疑問に、謎の女性の声が答える。

『人の運命も、星の未来も、
 すべて決定されているものではありません。』

『定められていたはずの、この未来も今、変わりつつあります。』

『 昔、ある人がこう言いました。
  過去は変えられない。だが、未来なら変えられる。
  だからこそ、チャンスはまだまだある、と。』

そこで、謎の女性は、姿を再び現すと、ほむらに慈愛に満ちた微笑をみせる。

『ですが、あなたも、良く知っているように、
 勇気ある祈りを持って、
 過去の歴史と、宇宙の法則さえ変えてしまった者もいます。』

『 だから、あなたも、どうか、希望を胸に、最後の最後まで、自分を信じて。 』

そこまで言うと、謎の女性の姿は消え、ほむらの体はあたたかな、
やわらかい光に包まれた。

気がつけば、ほむらは、なつかしい人に、優しく包まれていた。

『 ま ど か........』

ほむらは、泣いている自分に気がついた。

ここは自分の部屋の、自分のベッドの上。

『 え、私は?』

ほむらは、周囲を見回した後、重要な事を思い出した。

『 いま、何時?!!』

あわてて、近くの時計を掴み取り、現在時刻を確認する。

『 し、しまった!! 寝過ごした!!』

ほむらは、飛び起きてから、
短時間で軽い食事を済ませると、大急ぎで、外出の準備を開始した。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇