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ぎとぎとチキン
ぎとぎとチキン
novelistID. 6868
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嫌いになります。

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「あんまりしつこいと、嫌いになりますよ!」

暑い暑いボロアパート。
電化製品なんて電子レンジとパソコンだけ、そんな質素というかナニソレ何かの我慢大会?という狭い部屋に男二人。(内分けは童顔高校生:23歳児)
しかも二人でくっついて、というか片方がひっつくという苦行に、先程から青年(見た目少年)が文句をつけているのだが、男は全く堪えずくっつくばかり。
不快指数無限大、しかも青年の目の前では熱を発するノートパソコンがうなりを発しているのだ。(パソコンの耐熱温度って何度なんだろう)
離れて下さい、いやだよ、離れて下さい、帝人君ちゃんと食べてる?暑いからってちゃんと食べないと倒れちゃうよ、離れて下さい、まあ倒れたら俺がちゃんと介抱してあげるけど!まあちょっと悪戯するくらいいいよね?、よくないです離れて下さい、ていうかもういっそ俺の家来れば?クーラーもアイスもあるよ、嫌な予感しかしないので遠慮しますいい加減暑いので離して下さい、帝人君ラブ!そんなツンデレな所も愛してるよ!、デレを与えたつもりは無いです離れろ。
そんなやりとりが続いた後の、一言が冒頭の台詞である。
青年は額からも首筋からも汗を流していて、それを全身黒で覆った汗一つ掻いていない男がにっこり笑って、舐めた。(この人、ひとのあせなめた!!)
バチン、反射的に繰り出した青年の掌は男の手に受け止められて、逆に捕まれよりくっつかれる結果となる。
暑い。
あとウザイ。
青年の気持ちなど放って、男はぐりぐりと青年の首筋に顔を埋めて、何故かくすくす笑い出した。
暑さでおかしくなったのだろうか、ああ元からか。
青年が思考を自己完結させている中、男は顔を上げ、朗々と言葉をつむぎだした。

「帝人君は今、嫌いになるって言ったけどさあ、それってまず好意という大前提が無いと成り立たない言葉だよね。俺と君、双方の愛が無ければ成り立たない、実はとても複雑で明快な言葉だ。俺は君を愛しているから、確かに君に嫌いになられるのは遠慮したい、だからその脅しも有効だ、認めよう。ただ嫌いになる、という行為には必ず前が存在する。そう、君が俺を愛しているか否かだ。まあ愛とまでいかなくても、好意を持っていなければ嫌いになる事は出来ない。無感情、それもあるだろう、しかしそれは本当に興味を示していない存在自体を認識していないという事だから、嫌いになるという結果は得られない。結論として、君は俺に好意を抱いている、そう告白しているんだ。なんて嬉しいんだろうね、俺は確かに人間を愛している、ああ一部は例外としてだよ勿論、まあとにかく愛している。そしてだからこそ愛されるべきだと思っている、しかしだからといって嫌いになると言われても俺は全く気にしないし、じゃあバイバイと切り捨てられる。なのに今、俺は君に嫌いになると言われて一瞬躊躇った。躊躇った後、嬉しくなった。俺は人間を愛している、しかし嫌いになると言われて悲しくもないし嬉しくも無い。それがどうだ、この、君に対しての感情は!本当人間って面白いよねえ、俺を含めてまだまだ知らない事が多すぎる、そんな訳でとりあえず、」

「セックスしようか。」

男は台詞を全て言い切ると、笑顔で握った手を恭しく掲げ、手の甲にくちづけた。
ごちゃごちゃと訳の分からない理論で装飾した言葉の終局は、結局訳が分からなく、なおかつ下品だ。
青年は握られた手を引っ張り返して男の手を眺めると、目を細めて笑う。
そして、大きく口を開いて、その手の甲に噛み付いた。

「”嫌いになります”よ、臨也さん。」