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スズキ ヒロ
スズキ ヒロ
novelistID. 27241
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素直になれないぼくら

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銀時君は、銀魂幼稚園のタンポポ組に通う男の子です。

そんな銀時君には、神楽ちゃんという女の子と、新八君という男の子の“ぶか”がいます。

そう、銀時君は、彼らの“りーだー”なのです。

「いーか?神楽、“てき”が来たら、こーやって・・・」

今、銀時君は神楽ちゃんに、“てき”が来た時の“たいしょほう”を教えています。

「銀ちゃーん、これ、むずかしーネ」

でも、神楽ちゃんにはなかなか難しいようです。

「あー?」

銀時君も、これには眉を寄せます。

「おっかしーな・・・おれの教え方は完璧だと思ったのになー」

ぶつぶつとつぶやく銀時君に、神楽ちゃんも新八君も首をかしげます。

「よろずやー!」

そんな時、銀時君たちの元に、一人の男の子が走ってきました。

「ここは、おれたちあさがお組が遊ぶところなんだよ!」

その言葉に、銀時君たち3人は顔をゆがめます。

神楽ちゃんが“てきしゅう”ネと、叫びます。

「げ、あさがお組の大串じゃねーか」

おれ、こいつきらーいとそっぽ向く銀時君に、
男の子は、おれだってお前なんかきらいだ!
それと、おれは大串じゃなくて、土方だ!

と叫びます。

しかし、銀時君は、そーだっけ?と鼻をほじくって相手にしません。

「で?なにしにきたんだよ」

じとっとした目で見られて土方君はうっと言葉に詰まります。

「っ・・・ここは、おれたちあさがおぐ、」

「もしかしていっしょに遊びたいアルか?」

言葉の途中で神楽ちゃんににやにやと言われて、

土方君は再び口を閉ざしてしまいました。

「えー?まじでー?」

そんな土方君を見て銀時君もにやにや笑います。

恥ずかしくなった土方君はついに耐え切れなくなって、

背を向け走り出しました。

「あ!」

それを慌てて銀時君が追いかけます。

「まてよ!」

しかし、土方君はいっそうその足をはやめました。

「ひじかた!」

銀時の呼びかけに、土方君の肩が揺れます。

「・・・まよっちょのキーホルダー、やるから!」













「ほ、ほんとうか!?」

ようやく立ち止まり、こちらに駆け寄ってくる土方君を見て、

銀時君はほら、とポケットからキーホルダーを出します。

「!!」

途端に土方君の顔は満面の笑みになりました。

「ありがとーな、ぎんとき」

めったに呼ばれない名前で呼ばれて、銀時君も、まんざらではないようです。

「べ、別に・・・」

と言いながら頬をかくばかりです。

しばらくはしゃいでいた土方君ですが、

その後、急にそわそわしだしました。

「?」

銀時君は首をかしげます。

「っと・・・その」

目線を下のほうでさまよわせて土方君は意を決したように顔をあげます。

「あ、あとで、チョコやるよ!」

お礼だ!お礼!と真っ赤になって叫ぶ土方君に、

銀時君はたまらず飛びつきました。

「まじで!?」

耐え切れずに倒れこんだ土方君の上で、

銀時君は土方君に言います。

「おれ、やっぱりとーしろーが好きだ!」











数分後、ぼろぼろになった銀時君を見て、

神楽ちゃんと新八君がため息をつきます。

「これで何回目ネ」

「アンタばかですか」

“ぶか”にそう言われ、銀時君は泣きそうになります。

しかし、手にあるチョコレートを見て、

銀時君は内心満足していたのでした。







仲の悪いことで有名な、銀時君と土方君。

けれど、二人は本当はお互いに仲良くしたいのです。



素直になれない二人が、仲良くなれるのは、いったいいつになるのやら・・・
様子を見ていたお登勢先生は、そんな二人にため息をつきました。

Fin.