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たった一言の恋文(ラブレター)

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臨也さんから手紙が届いた。
所謂ラブレターという奴だ。
そういえば今日は恋文の日だったっけとか。
今日届くようにわざわざ前もって出したのかとか。
お互いパソコンを多用している人種なのだからメールでもいいんじゃないかとか。
そんな事を考えながら僕はその恋文を読んだ。

二枚の便箋に綴られたたくさんの愛の言葉。
けれどそれらは普段言われている言葉と何も変わらなくて、正直拍子抜けしてしまった。
あの人の事だから何か意図があっての事だろうとそう思っていたのに、それは本当に単なる恋文でしかなかった。
手紙を読み終わった僕はそれを封筒にしまおうと折り畳む。
その時になって裏側にも文字が書かれていた事に気が付いた。文字は一枚目の裏側に書かれていて、出した時には二枚目の裏側しか見えなかったので気付かなかったらしい。
なるほど。確かにこんな事はメールでは出来ないなとそう思った。

小さく書かれたその文字を声に出して読む。
「……ごめんね、ごめん。君を好きになって――」
ごめん。
最後の謝罪の言葉は音になる事なく口の中に消えた。
まさかの展開に僕は何も言えなかった。

送られてきた恋文に何か意図があるだろうと思っていたのは確かで。
だけど、臨也さんの事だから何かを企んでいる。そういう意図だと思っていたのだ。
それなのにまさか謝罪の言葉が書かれているなんて思ってもみなかった。
らしくない。そう、思った。

それから暫く考え込んだ僕は携帯を取り出してメールを打ち始める。
臨也さんのように今から手紙を書いても今日中には届かない。
今すぐ臨也さんにこの恋文を読んでもらわなければ意味がないのだ。
一分と掛からず打ち終わった恋文を臨也さんへと送る。
きっとメールが返ってくる事はないだろう。
むしろ、返ってこない方がいい。



それから数分後、アパートの扉をノックする音に僕は立ち上がった。
だって、メールを打っている暇があるなら今すぐこの部屋に来るべきなのだ。
そうして、あんなまどろっこしい恋文なんかではなく、たった一言直接言えばいい。
「好きなんだ」と。
そうすれば僕はきっと臨也さんを許してしまうだろう。
だって――――



「僕も好きですよ」





『会いたいです』



僕も彼と同じ気持ちなのだから。