使用人の受難
ガイ視点
TOA世界にユーリが普通にいます。
ちょー甘甘(雑誌マーガレットくらい)です。
※キャラ別人注意!
「なんでいつもいーっつも俺のご飯にだけ俺の嫌いなモンばっか入れんだよっ?!
嫌がらせか?!」
「おやぁ俺は坊ちゃんの事を思ってですね、料理長直々に頼んでやってんのに」
「俺のタメだと言うなら、どうして毎日人参ご飯、人参のグラッセとかが出てくんだよ?!しかもチキンにも人参入れやがって?!」
「俺は坊ちゃんが気にしてる背がな、伸びるように思ってしてるだけだぜ?」
「余計なお世話だっ!」
またかよ、こいつらは…
――俺の名前はガイ・セシル。この屋敷の使用人…いや、このキャンキャン叫んでいるルーク様の使用人だ。
そしてそのルークを軽くあしらってるのがユーリ・ローウェル。
ユーリはルークが下町に逃亡した時に見付けて連れてきたらしく、最初はユーリの態度は相当酷かった。
貴族嫌いらしく最初はルークの部屋に寄り付かず、ルークを避け続け、ずっと調理室に篭っていた。
それにルークがキレて、ユーリと言い合って、手合わせとかなんだかんだあったけど、ようやく落ち着いたように見えた。
―はずだったのだが…
「今日は特に人参を入れやがって!」
「今日は料理長がおいしい人参が手に入ったからって事でルーク坊ちゃんの為に作ったって言っただろ」
「今日という今日は許さない!俺に御褒美くれよ!俺の口に合うとびっきりおいしいもの!」
あぁルークのワガママが始まった…またユーリが怒るのか…
「…はいはい。後で『とびっきりの御褒美』を持っていってやるよ」
…ってあれ?ユーリが怒らない?
「約束だぞ!ユーリ!」
今日一番の笑顔でルークは自室へと戻って行った。
「ユ…ユーリ、俺がルークを宥めておくが…」
「良いって良いって。大丈夫だぜ。ワガママお坊ちゃんの扱いは心得てるからな」
これまたユーリは今日一番のにんやりした顔で厨房に向かった。
―大丈夫だろうか…
★☆
俺が庭の手入れをしているとユーリがルークの部屋へ入ろうとしている。
俺は心配になってルークの部屋のドアに聞き耳を立てている。
「御褒美って人参ケーキなのかよッ!お前は本当に嫌味なヤツだな!」
「最近人参をよく食べるようになったお坊ちゃんのために、より食べて貰うように俺が直々に作ったんだぜ。」
ヤバイ、また喧嘩が始まろうとしてる。俺は喧嘩を止める為に急いでドアノブに手を伸ばそうとすると―
「じゃ、じゃあ!ユ、ユーリが俺にあーんしてくれよっ!そしたら食べる!」
何言ってんだぁあ!ルーク!そんな子に俺は育てた覚えありませんッ!むしろそんな事ユーリがするわけ……
「良いぜ。むしろあーんじゃなくて口移しで食べさせてやるよ。もちろん恋人としてな。」
っていらっしゃやがりましたぁ!むしろ恋人ってお前らいつの間にそんな関係になってんだよッ!
俺が真っ白になっていても、会話は続けられ、何だか水音が聞こえてくる。
「ユーリ…んぅ…もっと…」
「ちゃんと味わって食えよ。ルーク」
「ユーリとのキスに夢中で分かんねぇ…ん…」
「ワガママな恋人だな。じゃあ、あーんに変えちもうぞ?」
「や…やだッ…!ユーリともっとちゅーしたい…」
「じゃあ、お前が食べている間は口以外にキスして、終わったら口にキスはどうだ?」
「それも良いけど、やっぱり口にちゅー欲しい…」
「分かった分かった。なんだ今日はやけに甘えん坊だな」
「だって最近ユーリ忙しそうで構ってくれなかったし…さ、寂しかったんだよッ!」
「じゃあ、今日はたくさん構わねぇといけねぇな。あと俺の褒美も貰うぜ」
「望むところだ!お…俺だってやる時はやるんだからな…!」
「ほーぅ、そいつは楽しみだな。期待してるぜ」
―あーぁ…結局は仲良しを通り越して恋人同士になっていたのか…なんか娘を嫁に出す気分だな…
今日はこの部屋に誰も近付かないように言っておくか…
そして俺もあの二人が一緒の部屋にいるときは近づかないようにしとかないと・・・
なんだか今日はとてつもなく疲れたな・・・
俺は手入れした庭を眺めながら、屋敷に戻った。