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璃琉@堕ちている途中
璃琉@堕ちている途中
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トランキライザー

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白い、丸い、白い、丸い、白い丸い、白くて丸い、白、丸、白、丸、白丸、白丸、しろい、まるい、しろまる、しろまる、しろ、まる…しろ、まる…



怖い夢を見た。
殺される夢だった。ひたすらに、恐怖。
それ以上を見たくなくて、目蓋を持ち上げた。
―シャットアウト。
本来そうしたい時とは逆の行為、だからか、覚醒したのに全然、忘れられない。
忘れない。忘れられない。殺されるということ。
胸が苦しい。
もう死んでいて、どうしようもない状態だった。既にその事実にして真実は、どうしようもない、現実だった。
―どうしようもない、ということ。
ああ、胸が、苦しい。
―水が欲しい。
網膜に張りついていた映像は、ところどころ剥がれ始めている。だけど、感覚が。
―この身体と心の全てで感じた、絶望が。
ベッドサイドの携帯電話に手を伸ばす。それくらいしか、出来なくて。

『―――はい』

口の中がカラカラだ。喉が痛い。

『どうしたの』

声を出すのを躊躇う。自分の声を、聴きたくない。情けなく震えて、ともすれば、泣いてしまいそうな。

『何かあったんだろう?』

というか、上手く話せない。

『ねぇ、君』

―どうしようもない。

『―――――』

だから、シャットアウト。
力無く投げた携帯電話が、落ちる。私も、堕ちる。堕ちる。堕ち、る―――――。



―――ブラックアウト。



唇に触れた冷たさに、目蓋を持ち上げた。すぐに、水だと理解した。ついで、指。
指はそこから私を侵す、喉元から私に侵入する。
―いや、とっくに、侵されている?
誘われるまま、私は胸につかえていた感覚を、絶望を吐き出した。洗いざらい、きれいさっぱり。なんてわけにはいかないけれど。だって、どうしようもない。
鈍く光る指輪が、汚れる。どうしようもない、私の所為で。
いきていたのね。
精一杯、この醜い世界で二番目に愛している彼への、精一杯。
みず、のみたかったの。
精一杯、この酷い世界で唯一愛をくれる彼への、精一杯。

「どうしようもない女だよ、君は」

そうなの、どうしようもないのよ。



貴方が居ないと、満足に眠れやしない。言ったじゃない。貴方は、





『トランキライザー』

(どうしようもない私を捨てないで)
(どうしようもない俺を置いていかないで)

(どうしようもないから、キスくらいしておこう)