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かつみあおい
かつみあおい
novelistID. 2384
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彼をスノボに連れてって

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 例えば、サンフランシスコの路面電車をすり抜ける坂。例えば、グランドキャニオンの絶壁。重力に自ら加速度を付けて、それ以上の速さを手に入れると言う行為は、言わば、重力を生み出す地球ってやつに勝利する感覚を得られる貴重な機会だ。俺はそういうのが、何しろHEROなものだから大好きだったりする。

 呼吸を整える。READY。視界を整える。GET SET。風は向かい風。COUNT3。白が細かく空気に立つ。COUNT2。ここは雲よりはるか高い場所。COUNT1。

 87.5度の斜面という名の絶壁は、自分で決めた『0』と同時に角度を変える、頭は前へ、腰も前へ。一気にアドレナリンが血流を回る。

 ゴーグルはあっという間に、拡散する結晶がぶつかってくるけど、それはパウダースノーでしかなくて、細かい隙間ははっきりと目に焼きつけながら、踏みしめた相棒に身を任せる。

 Okay、Baby!
 厚さ2センチは、車より速く、ロッキーのふもとに小さな雪崩を起こしていく。コブがあれば宙に浮き、障害物は回旋し、降下はそのまま高みになって、速く速くもっと速く!! 



 ふと振り返ると、自分が造った軌跡が頂上からS字を描いていた、真っ白なキャンバスに刻み込まれた一銭。俺は満足げに笑って、やがて止まる。

 あっと言う間の、勝利の匂いを、ふかふかの雪に抱きしめられながら。