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日照ラテ粉
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novelistID. 26877
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続合鍵問題イゴリダ編

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「おじゃまします!」
「!!・・・」
ジグの部屋に入ってくるなり、イゴリダは明るい声で挨拶した。
まるきり普段どおりの顔・・・いや、いつもより元気そうで、楽しそうだ。
「ジグ、昨日はごめんなさいね。びっくりさせるつもりはなかったのよ。てっきりあなた一人だと思って・・・ファズにも、後で謝りに行こうと思うの。きちんと話せば、許してくれるわよね?」
「・・・ああ・・・。」
謝られている・・・のだろうか。本当に楽しんでいるように見える。
「それにしても・・・驚いたわ。まさかあなたたち二人がそんな関係だったなんて」
「・・・」
ジグは腕を組んで、窓の外を見つめた。
会話らしい会話はしていないのに、もう疲れた。
「あらあら。こういう話は苦手?というより、はじめてかしら?」
「・・・・そうだ」
「まあ、一応話を聞いてはくれているのね。じゃあとりあえず、これだけは聞いて欲しいのだけど、わたしだってただ面白がっているわけじゃないのよ?がんばってほしいって思ってるの」
「・・・・・」
「だって、あなたたちにはそれは特別な絆があるのでしょうけど。
 世間からみれば、道ならぬ恋ということになってしまうし。
 いろいろと苦しむこと、難しいことも、あると思うの・・・
 そんなものに負けずに、頑張って欲しいのよ。」
「・・・本当に、そう思っているのか?」
「ええ!そうやって、悩むあなたを見るのが楽しみ・・・
 ごめんなさい、やっぱりそういうことになっちゃうわね」
「・・・イゴリダ・・・」
「安心して、他の人には二人のこと、秘密にしておくわ」
「・・・・そうしてくれ」
「私が黙っていたって、そのうち皆気づいてしまうでしょうし。」
「・・・・・」
イゴリダは何がしたいのだろう。
本気で自分が困った顔を見るのが楽しいと思っているならば、そろそろ満足してもいいころじゃないだろうか。
「でも・・・二人にはどんなことがあっても、自分を貫き通してほしいわ。
 そうして愛を深めていって、ゆくゆくは、結婚してしまいなさい!!」
「・・・・はあ!?」
素っ頓狂な声をあげて目を白黒させる。本当に何を言い出すんだイゴリダは。
「そんなこと・・・できるわけないだろう」
「確かに、今の機構の法律では許されていないことだけれど。
 でもジグ、あなたは七騎士なのよ?」
「そんなことは、できない!
 自分にばかり都合のいい法律を作るなんて、まるで前の七騎士だ」
「そうよ。私欲の為に法をねじまげるなんてあってはならないことだわ。
 今の世界では、同性同士の結婚なんて、きっと認められない・・・・だから、
 それが認められるくらいの平和な世界を、私達が作るのよ!」
「な・・・!
 そんなこと、ありえるのか?」
「できるわよ!!」イゴリダは拳をにぎり、力強く言い放つ。
「今よりもっと平和な世の中になって・・・人口が今よりずっと安定すれば
 同性婚の問題も減ると思うの。そうなればあなた達だけじゃなく、
 世界中の人たちが自分の愛する人と、堂々と結婚できるようになるわ」
「・・・・」
「今の世の中からみれば夢みたいな話かもしれないけれど、でも、がんばってみましょう!私も及ばずながら尽力するわ!」



「イゴリダが・・・そんなことを・・・」
「ああ」
ジグはファズに、イゴリダがした「夢みたいな話」も含めて、やり取りの一部始終を伝えた。
ファズは生真面目な顔で話を聞き終えると、考え込むように下を向き、しばらくして顔をあげ、口を開いた。
「いいかもな、それ」
「はあ!?」
イゴリダに突飛な提案をされた時と同じような反応をしてしまう。
「ファズ、お前まで、そんな・・・」
「いや・・・・だって、イゴリダの言うことは間違ってないだろう?
 本当にこの世界が平和になれば、そういう法律を作る事だってできるはずだ」
「それは、そうかもしれないが・・・!」
「今より平和な世の中を作ることで、今までできなかったことができるようになるなら・・・ それを目指してみるのもいいと俺は思う」
ファズは眩しいほどまっすぐな目で語る。
本気で、そんな未来を考えているのか。
「・・・ファズ、お前は・・・・」
「なんだ?」
「お前は・・・もしそうなったとして、
 本当に俺と結婚するつもりか?」
「当たり前だろ」
「っ!!」
ファズはきっぱり言い放った。
「もしそうなったら、俺は一番にお前に結婚を申し込みにいく。
 絶対に、他の誰にも渡さないからな」
「・・・・」
「お前は?どうなんだジグ。
 俺が結婚を申し込んだら・・・受けてくれるのか?」
ファズに体を抱きすくめられ、耳元でささやく様に問われる。
「なあ・・・ジグ」
「う・・・・」
そんなこと。
そんなことの答えなんて、決まっている。
十年先だろうと、二十年先だろうときっと変わらない。


「・・・・そのときになったら、返事をする」
「おい」