愛と友の修羅場 11
フラノールとは年から年中雪が積もっている冷たい街だ。
恋愛スポットとして、夜の街灯に照らされながら街の頂上の台に上って
街の景色を眺めるカップルも少なくはない。
そんなところだ。
「へくしゅんっ」
今は班で行動している。
それなのでもちろん5人だ。
男鹿もいる。
「フラノールはやっぱ寒いねぇ…」
コレットの手に雪が一粒落ちてきた。
そんなコレットを少し後ろから古市が見つめている。
「コレットぉ!!一緒に夜景でもみにいかなぁーい?」
流星が突然コレットの後ろから飛びついてきた。
「今朝だし、夜景はみにいけない」
流星にはコレットの変わりになぜかマルタが
無愛想な表情で答える。
「なんだなんだー!マルター君も一緒に見にいきたいのか?」
「いや。あんたとは行きたくない」
マルタのそんな言葉が流星の胸に刺さる。
流星がフラフラとコレットのそばから遠ざかってゆく。
そんなことを見計らって古市がコレットに近づいていった。
「コレット!!なぁ、一緒にアクセサリーショップ行かない?」
「ん、いいよー!班のみんなでいこっ!」
マルタはもちろん賛成のようだが…
男鹿が何も話さない。
「お、男鹿はいいかな?」
勇気をふりしぼってコレットは男鹿に話しかけてみるが…
ただうなずくだけの返事を男鹿からもらった。
「そ、そっか!じゃあ、みんなでいこう!!」
アクセサリーショップに入った瞬間、
店全体がきらきらと輝いている。
安価なものから高価なものまでずべてそろっている。
「わぁ…綺麗…」
コレットはあるアクセサリーの前で立ち止まっていた。
それを男鹿がちょこっと覗くと…
5000円の指輪だ。
(高っ!!これでもこの店で安いほうなんだろうな)
「コレットはこういうのが好きなんだー!!」
そこで古市がコレットの隣にきて、コレットはうんと返事する。
やはり古市も値段に目をやると…高校生(バイトしてない)にしては
高い値段だ。
「でも、高いよね!!もうちょっと安ければいいのになぁ~…」
コレットがボソッと言う。
確かにと、ここにいる全員がそう心の中で思っていた。
「私…これ可愛い…」
マルタが指差したのは…
「ほぉ~ハートのネックレスかー!」
コレットもかわいいと思いながらきらきらした目でみていた。
そんなコレットを男鹿は険しい表情で見つめている。
(早く誤解を解かなきゃやべぇぞ…)
コレットとマルタは先に店を出ていた。
そこで二人は店の前のベンチに腰掛ける。
「はぁ…」
コレットが座ったのと同時に大きなため息をついた。
マルタはコレットの顔を覗き込むように、
どうしたの?と聞いてみる。
「え!いや…なんか…“恋”って切ないなぁっておもってさぁ!!」
コレットは心の中で男鹿を想い浮かべながら言う。
人生自分の妄想のようにいかないのだと、コレットは改めて
思ったのだろう。
「その気持ちわかる…私も好きな人いるけどなかなか振り向いてくれなくて…
その好きな人は私以外の人ばかり見つめてて…もぉ、切ない」
「そっか…」
そういってそおっと振り落ちてくる雪を眺めた。
何かずっと見つめているともっと切なくなってくる…
こんなことで男鹿をあきらめたくない!!
そんな気持ちがコレットの心の中でどんどん燃え上がるように強くなっていった。
「マルタ!!私…このままじゃ終われない!!」
突然立ち上がったコレットにマルタは驚く。
すぐにコレットの言葉を理解して、うんとうなずき
コレットを目で見送った。
「コレット…私は貴女が…憎いよ
友達だと思ったことなんて一度もない…
正直私の人生で邪魔な存在…
なぜならば――――――
古市が好きだから…」
つづく☆
作品名:愛と友の修羅場 11 作家名:河童巻き