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TAB お題「i wanna be a hero.」

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バニーとおじさんは、「夕方の病院」で登場人物が「好きにする」、「本」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://t.co/YuXUto8 #rendai


ふと目が覚めた。
麻酔から起きた独特の目覚め方でもう一度目を閉じる。
瞼の裏には紅い、夕焼けに染まった病室の天井がにじむ。
その風景に一抹の寂しさを感じた。
病院送りになるのは久しぶりのことで、疲れが溜まっているつもりはなかったけれど、体のあちこちが重いのは、きっとそういうことなんだろう。

レジェンドみたいなヒーローになるって、ずっと思い描いていたけれど、きっとそれはただの憧れで、なれるなんて……いや、なれるとずっと思っていたし、なろうと思っている。
”ヒーロー”に俺の人生は救われて、そして、俺の人生はだれかを助けるためにあると信じてる。
そのためにあいつの死に目に会えなかったとしても、ヒーローが好きだったあいつだからきっと許してくれる。そして、あの時の病室もこんな茜色に染まっていた。
……やなことを思い出しちまったなぁ。楓はあいつが寝ていると思って、しきりと起こそうとしてたこととか。ヒーローつったって、誰でも助けられるわけがないのに。
呼吸をする度に右肩が痛むけれど、こんなの大したことねぇ。あいつと別れたことに比べれば。
動く左手を中空に伸ばす。
見えないあいつの手をつかむように。
誰もいない筈なのに、まるで最初からそうするつもりだったように、誰かが俺の手を握った。
すぐわかる。
この手はバーナビーだ。
「びっくりしました。急に手を伸ばすから」
ベッドの左側にはバーナビーがいた。
「いつから?」
「現場検証が終わったらすぐに」
「何してた?」
「本、読んでました」
あまりにもいつものバーナビーっぽくて気が抜ける。
それよりも、空をつかむ筈だったのに、バーナビーに握られて無性に離したくなくなった。
どうしようか。
この熱さはあいつとは絶対違うものなのに。
昔から知っているような、そんな気さえしてくる。
バーナビーも変に思わないのか、そのまま握りっぱなしで、まるで時間が止まったようだった。
「バーナビー。酷な質問するぜ」
「どうぞ」
「親がいなくても、子は育つのか?」
「ええ、お金さえあれば、割と簡単に」
バーナビーらしいドライな返事にどうしたものかと首の骨を鳴らしたいが、あいにくまだ麻酔が効いているようだった。
「下ろしていいですか?」
あぁ、と唸りながら名残惜しげに手を離す。
「すみませんでした。僕なんかの為に」
しおらしい姿になんだか調子が狂う。
「まぁなんだ、前にお前に助けてもらったし、おあいこな」
「お姫様だっこのことですか?」
「だあああ!それ言うな!!」
無意識に起き上がろうとして右肩の痛さに血の気が引いた。
「あぁもうとにかく。礼はいいからもう帰れ」
「いやです」
「ここにいたって、することないだろ?」
「本を読んでます」
「何言ってんだ?これぐらいの怪我なんてどーってことないんだから。お前がいる方が気になるんだよ」
「無視してくださって結構です」
「わかった、好きにしろ」
「好きにします」
なんで売り言葉に買い言葉なんだと頭をひねりながら、枕に頭を戻した。なんでいつもこうなるんだろうな。バーナビーは本当に、椅子に座りなおして本を読み始めた。ここにいたってなんの楽しいことも無いのに。呑みに行った方が楽しいのにねぇ。
「バニーちゃんは呑みに行ったりしないの?」
「行く必要性を感じたことがありません」
「え、もしかしてさびしんぼう?じゃ、今度おじさんが連れていってあげるよー」
「……その怪我が治るまでアルコール禁止って、看護婦が言ってましたよ」
「おまえバカじゃないの?そんなの守っても守らなくても傷なんていつかは治るんだよ」
「自分の年を考えてください、おじさん」
「バニーちゃんが酔っ払ったら介抱してやるぜー」
「反対ですよ。僕がおじさんを介抱しますから」
「いやいやそこは俺だろう」「おじさん」
「ん~?」バーナビーはパタンと文庫本を閉じて眼鏡の縁を光らせる。そうか、もう夜になっちまったか。
「怪我人なんだからおとなしくしてください。そうじゃないと、好きにしちゃいますよ」
「好きにって?」
文庫本が宙に投げられるのを目で追ったら、バーナビーに頬をつかまれて唇を咬まれた。
「こういうことです」
つーん!と顔をそむけて、床に落ちた文庫本を取りに行くバーナビーの頬や耳が、夕日はとうに沈んだというのに赤くなっていた。
照れ隠しに怒ったふりをするところがなんだかかわいくて、俺は乾いた笑いをこぼした。
しかしなんだ、この落ち着かない空気。
反抗期の子供を相手にしているような、照れくさいこそばゆい感じにいたたまれなくて、俺は自分にためいきをついた。