もしも、
もしも、あの頃の俺がじいちゃんの言うことを守らずに君の手を取っていたら、どれだけ幸せだっただろう。
いや、もしかしたらとても不幸せになっていたかも。
だって、君はあの後すぐに戦争を始めたもんね。
でもね、きっと君と一緒に居られたなら、俺は戦争すらも気にはしなかったと思うんだ。
君と笑って、手を繋いで、抱き締め合って、キスをして…。
君さえ居ればそれで良かった。
そんな簡単なことに気づいたのは、君を失ってから。
いくら名前を呼んだって、いくら手を伸ばしたって、それに応えてくれる君はもう居ない。
あの頃、君はあんなにも俺を求めてくれたのに。
どうしてあの頃の俺は、俺を求めてくれる君の大切さを理解していなかったんだろう。
君が居なくなってから、俺は後悔ばかりしているよ。
そんなんじゃダメなのにね。
ねぇ、神聖ローマ。
どうして君は俺を置いていったの?
寂しいよ。
すごく寂しい。
また、昔みたいに強引に俺の手を取って、その強い瞳で俺を見つめて?
俺はずっと君を待ってるよ。
大好き、神聖ローマ。