君からの言葉
君からの言葉で、俺は今日も生きていくよ。
「どうしてお前はそんなにすぐ白旗を上げるんだ。」
ドイツは眉間の皺をいつもより深くしながら、呆れたように言った。
確かに、俺も時々これはやり過ぎかな、なんて思うけど。
だけど、俺はこれ以外に自分の身を守る術がない。
「だって、痛いの嫌だし、俺弱いし。」
自分で言っていて、少し悲しくなる。
俺は弱い。
これはもうどうにもならないと思う。
だから、俺を守ってくれるドイツには本当に感謝してるんだ。
自分の力では生き残れない。
他の誰かに縋りながらも、俺が生きていくのは君のせいだよ。
君があんな手紙を残すから。
ねぇ、あの手紙を見つけた時の俺の気持ちが分かる?
嬉しくて悲しくて愛しくて切なくて喜んで絶望して…。
そんな風に色んな感情がごちゃごちゃになって、大声を上げて泣いたんだ。
オーストリアさん家の物置に隠すように置いてあったスケッチブックの一番最後のページに、少し汚い字で書かれた君からの手紙。
君は自分がどうなるか分かっていたの?
君はどんな気持ちであの手紙を書いたの?
「生きて、たくさん生きて俺の分まで世界を見ていてくれ。」
手紙に書かれた最後の言葉。
俺はそれを守っているよ。
どんなみっともないことをしたって、君からの最後の言葉を、俺は守っていく。
でも、本当は手紙を見た瞬間から君の所に行きたかったのに、俺はちゃんと我慢してるんだよ?
だから、精一杯生きて、生きて生き抜いて、それでも終わりを迎えて君の所に行った時には、たくさん褒めてね。
だって当然でしょう?
俺はすっごく我慢してるんだもん。
でも、それはまだ当分先になりそう。
だってね、最近はドイツとか日本とかっていう友達ができて、何かと助けてくれるんだ。
だから、君の所へはまだ行けない。
君の言葉と、友達の助けを借りて、俺は今日も生きていくよ。
だから、ちゃんと見ててね、神聖ローマ。