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げつ@ついったー
げつ@ついったー
novelistID. 2846
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忘れたいんじゃない、

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 一瞬本当の本当に頭が可笑しくなったのかと思った。佐助のここまで切な声を初めて聞いてしまったからだ。喜びよりも、驚きよりも、なんだかひどく重い罪のような気がして、俯いていた顔を一気に上げると、佐助は泣いていた。
「好きだよ…、ずっと、政宗のことが好きだったんだ。何でそんなこと云ったのか知らないけど、それが嫉妬なのかなって俺ちょっと考えもしたんだけど、」
 俺すごいショックだった。呆然と立ち尽くす俺に佐助は抱かせてよ、と短く迫った。
(抱かれる…?俺が?佐助に?)
 政宗を抱きたいよ、俺を慰めてよ。重ねて佐助は俺との距離を一歩詰めた。俺は思わず一歩あとずさる。目の光は俺に到底拒否権など与えてくれるはずもないことを如実に語っていた。
(佐助のことは、好きだ。『親友』と呼べる程度には、間違いなく。だが恋愛感情といったらどうだろう?俺は迷わず佐助のことを 愛している と云えるだろうか?抱かれたい と思うだろうか?否。分からない。もしかしたらこの怒りは確かに嫉妬かもしれない。だがどうだろう、俺と佐助 は、)
 瞬きも忘れて佐助の顔を見つめた。分からない。頭がぐるぐるして、息をすることさえ忘れながらも、佐助のことで頭が一杯で、そうしている間に距離は一歩ずつ狭まっていって本当に何が何だかわからなかった。
 冷たい指先が空を何度か掻いて、俺の頬に触れる。そこには憎悪があったが、慈愛もあった。どちらともたしかに昔、母から受けたものと全く同じだった。絡まるような焦燥、燻る感情。

「政宗、」

 吐息と一緒に名前を呼ばれてぞくりとして、気がつけば唇を重ねていて、(俺はコイツに捕まった)。



(忘れたいんじゃない、それにしては幸せすぎて、)
(そう、ただなかったことにしてしまいたい)
(お前の言葉も、俺の気持ちも、)
(ただ、なかったこと に、)