愛と友の修羅場 最終話
恋するより大変なことも知った…
それは…愛すること―――
「俺は、ずっとてめぇを好きだった」
自分の腕のかなにいるコレットに男鹿はボソッと耳元でささやく。
「過去形じゃ…ぃやぁ!!」
「わりぃ…過去形じゃなきゃいけねぇんだ…」
「どうして…どうしてなの…?」
号泣するコレットは男鹿に抱きついたままだ。
「…俺は…お前も好きだった。古市にはお前が好きっていってた。
うそはついてねぇ…だけど…わりぃ…
ほかに好きなやつがいるんだ…」
「じゃあ、私を愛してくれないの…?」
小さな沈黙の後、コレットがまた口を開いた。
「じゃあ…」
すーっと胸元のポケットからカッターを取り出した。
「こ・・・コレット?」
コレットは自分の手をカッターで刺しはじめた!!
ぐっちゃ・・・びしゃぁっ…
「おい、コレット!!やめろよ!!」
男鹿が力ずくでコレットをとめる。
「…私が死んだら…男鹿は悲しい?」
突然の冷静のコレットの質問に男鹿は少し間を空けて答えた。
「あぁ、悲しい!!俺以外でも悲しむやつはいる!!!だから、だから死ぬな!!」
「私がいなくなったら男鹿の世界は変わる?」
「あぁ、ひどくかわる!!だから…死なないでくれ!!」
「私、行きたい場所があるの…一緒に行ってくれる??」
「あぁ!!行ってあげるとも!!だから…だからっ…!!うっ!!!」
男鹿の心臓の部分をコレットがカッターで刺した。
「私、天国…いや、地獄に行きたいの!!一緒に行きましょう!!
私も今から男鹿のもとへ行くから!!まっててね!!地獄であいましょう!!!」
そういってコレットは自分の心臓をカッターで意識がある限り刺し続けた。
それから…5年後…
「…あの日は驚いたぜぇ…今になっちゃ…コレットはこの世界に存在しないがな…
少し期待させていた自分も悪かったかもしんねぇな…」
男鹿は邦枝の隣でぼそっと五年前のことを語っていた。
「まじで、たすかったぜぇ…あんとき葵がこなかったら俺は死んでたところだったな」
「そうね…。あいいう変わった子もこの世界にいることがあるのね…
コレットにせめてさよならぐらい言いたかったわ…」
今はもうこの世界にはいない。
コレットが生まれ変わったらせめて言いたいことがある…
ありがとう…そして、ごめんなさい―――――
END
作品名:愛と友の修羅場 最終話 作家名:河童巻き