いつだって君はそう言って笑う
独り言のつもりだったのにどうやら聞かれてしまったらしい。
「どうしたんだ?いきなり」
首を傾げ彼に問われた。
どうしたと言われても、人に言えるような理由が有るわけではない。答えあぐねている僕を置き去りにして彼は言う。
「樹海なんかじゃなくて海行こうぜ。知ってるか照美、樹海って海って入ってるくせに山なんだぜ。まぁ、そんなの海の広さに比べたら些細なことだけどなー。」
当然知っている上に全然些細じゃない事を笑う彼に何かを言わなければいけない気分になったが何も言えなかった。
「だからさ、樹海なんかじゃなくて海行こうぜ」
太陽を背負って笑う彼に何を言えただろう。
そうやって君はいつも笑う。
作品名:いつだって君はそう言って笑う 作家名:さも