二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

もう、いいかい

INDEX|1ページ/1ページ|

 
俺が彼女から受け取った温かくて綺麗で嬉しいもの、彼女が言うところの愛はどれだけの質量になるのだろう。きっと俺の両手になんかおさまりきらない。それ位、彼女は俺を好いてくれた。
彼女とずっと仲間でいられたら、と思う俺としてはこの身に不釣り合いな愛を何処かへ棄てられたらと思っていた。サッカーを続けている限り終わらない仲間、友達でいられたらそれが最良だと思ったんだ。


でも、かつてのチームメイトから伝え聞いた彼女の話に不思議な気持ちになった。一時はそれこそお早うからお休みまで四六時中一緒にいた彼女を、俺の隣にいた彼女の話を他の人間から聞くことになるなんて。俺の知らない彼女を他人から聞かされるなんて。
酷く可笑しくて、何故か吐き気がした。


俺は彼女とは友達で居られたらいいと思っていて、そもそも最初、俺は秋が好きで、彼女のことなんて好きではなかった。向けられる好意は嫌ではなかったけど、応えられないから素直に喜べなかった。いや、正直すぐに飽きると思っていたからそれほど困るとも思わなかったけど。
でも俺の予想に反して彼女は俺に飽きなかった。ずっと俺に気持ちを向けていた。
そんな彼女に段々尊敬の念のようなものを抱くようになった。俺の秋への思いは旅を続ける中で薄れてしまっていたから。
だからこそ俺は彼女とは友達で有り続けたいと思った。いつ終わるかもわからない恋情よりも末長い友情を望んだ。


彼女を失うのが怖くて、手に入れようとする努力さえ放棄した俺はなんて臆病なんだろう。
自分で恐ろしくなる位の俺のこの感情を誰かに渡したいと思っても、その宛なんて何処にもない。



だからさ、リカ、俺がずっと前から思っていたことを話すよ。
きみからの、そして俺の本音からのかくれんぼはもう終わり。
もう、いいかい?
作品名:もう、いいかい 作家名:さも