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dmc3双子短編詰め合わせ

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ことりたちはにげない(VDVパラレル:共依存)


窓から見える風景はたいして変わり映えしないというのが印象だ。それが夕刻であろうと朝であろうとひるであろうと、窓の向こうは大した変化を見せたがらない。変わったものだとバージルは思いながらストローを咥えていると、今しがた検査の済んだダンテが少しばかりふらふらとしながらバージルの横に座った。へろへろとしたダンテは右手にイチゴ牛乳のパックを持ち、左手にフルーツサンドイッチを握り締め顔を机に張り付けている。どこの女子だとバージルは突っ込んでやりたくなったが、明らかに消耗しているダンテに珍しく気を使って黙ったままでいてやった。
「血、すげー抜かれた。」
「……そうか」
「あたま、ぐわんぐわんする。」
たどたどしくなってしまった口調で話すダンテはなおも顔を机にひっつけたままでいる。ダンテが帰ってきたのならこれ以上この待合室にいる必要もないし、早く部屋へ帰りたいと思うバージルではあったがダンテがこうもぐったりしていると、今更見捨てるのもはばかられた。ちなみにバージルの検査はすでに午前中で終了している。今は昼を一時間ほど過ぎたころ合いなのだが、今日ダンテを担当する主任が急用で遅れてしまったため、ダンテの検査が長引いてしまったのだ。
「早く研究終わらねぇかな」
ダンテはぼやきながらむくりと起き上がった。血の気の失せた顔は蒼白と言っていいほど青白い。ためしに手を触ってみれば、いつも高い体温が嘘のように低くなってしまっていた。つらいか、と尋ねれば、痛くはねぇんだけどだるい、と気だるげな返答が返ってくる。ダンテはイチゴ牛乳にストローを差し込みながらゆったりと瞬きを繰り返して、バージルを見た。続けられる言葉を知っているかのような表情だった
「ここから出たいか。」
バージルは静かに尋ねた。幼いころから、何度もこの質問をした。母親が死んでしまい、研究所の人間に捕まってここで暮らし始めてから何度も。それは確かめるようであったのかどうかもわからない。何にせよ、バージルはそのあとに続けられるであろうダンテの言葉を知っていた。知っていて尚聞くのはそうして聞けばダンテは逃げることができなくなるとバージルはよく知っていたからだ。母親がダンテをかばって死んだあの日からダンテはバージルに依存するようになっていた。手を離してしまえば消えてなくなるとでも思っているのか、余りそばをはなれたがらない。
「バージルがいるならいい。ここでいい。」
ダンテは尋ねるといつもそう答えた。バージルはそれがどういうことであるかをを知りながらも、それを諭すことはしなかった。そうか、とバージルが答えると、おとなしくうなずく弟はイチゴ牛乳のストローを咥えたままバージルにもたれかかってくる。バージルはそのダンテの重さに安堵しながら、醜くゆがんでしまった愛情と独占欲のいり交る濁った底なし沼にでも沈んでいくような思いだった。


(このころの双子は十代前半だと思われます)