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キミには内緒

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静雄は茜と会う時はだいたいイケフクロウの前で待ち合わせをする(茜ぐらいの歳の子供が分かりやすい目印と言ったらそれくらいしか静雄には思いつかなかった)今日もいつも通りイケフクロウの前で落ち合った。

「静雄お兄ちゃん!」

静雄を見つけると茜は思いっきり手を振りながら笑顔で静雄の名前を呼ぶ。

静雄は最初、自分の名前を呼ばれ少しばかり恥ずかしかったが、最近では恒例になりだいぶ慣れてきた。

「よぉ。待ったか?」

「ううん。今来たところだよ」

そう言いながらも、茜の頬は暑さのせいでうっすらと赤くなっていた。静雄が指先でそっと触れると、見た目通り少し熱を持っている。静雄は日が当たらないとはいえ、暑い中小さな茜を待たせた事を申し訳なく思った。

「今日は暑いからロッテのシェイクでも買いに行くか」

「うん!私ストロベリーがいいな」

静雄の提案に嬉しそうに笑いながら自然と手を繋ぎ、目的地へと歩き始める。

静雄は手を繋ぐのも最初は抵抗があったが、手を繋がないと人波で逸れ小さな茜を見つけるのに苦労した事があり、それ以来自然と手を繋ぐようになった。

歩きながら茜は今日学校であった事や、昨日テレビで見た動物番組の動物が可愛かったなど、楽しそうに話している。

ロッテの手前の信号が赤になり待っていると、茜の話声が止んだ。

静雄がどうしたのかと茜を見ると、くりくりとした目がある一点を見つめている。最近CMでよく流れているアイス屋だ(ダブルで頼むともう一つおまけをつけるとか言うやつだ)

「アイス食いたいのか?」

静雄の声に茜は振り返り、迷ったように視線を泳がせる。

「えっと、でも静雄お兄ちゃんとシェイク飲みたいし・・・でも、アイスも食べたいけど、両方はお腹壊しちゃいそうだから・・・」

茜はシェイクとアイス、どちらにしようかと悩みだした。

自分の体調を気遣い、両方食べたいと言わない茜が可愛らしく、静雄は繋いでいない方の手で茜の小さな頭を撫でる。

「たまには、アイスもいいかもな」

そう言うと、茜は泳がせていた目を静雄に向けパチクリと一度瞬きをし、嬉しそうに「うん!」と頷いた。

静雄と茜は信号待ちの人波を抜け、アイス屋へと入る。中にはアイスの入ったケースがあり、茜は小さく「わぁ!」と歓声をあげた。

ケースの前に行くとうまく中が見えないのか、茜は背伸びをしながらケースを覗いている。

その格好が可愛く眺めていたい気もしたが、あまりに一生懸命背伸びをしているので静雄は見やすいように茜を抱き上げた。

「どれがいいんだ?」

静雄の突然の行動に驚き、僅かに頬を染めながらも茜はアイスを選び始めた。

「ベリーベリーストロベリー・・・でも、ストロベリーチーズケーキも美味しそうだなぁ」

静雄の腕の中で小さく呟きながら悩む茜。そんな茜の様子に無意識に微笑みながら静雄は店員へと注文をする。

「ダブルで、ベリーベリーストロベリーとストロベリーチーズケーキ」

茜は静雄の言葉に再び驚き、腕の中から静雄を見上げる。

「静雄お兄ちゃん、いいの?」

「おぉ、その代わり俺にもくれよ」

茜の言葉に頷きニッと悪戯っぽく笑う静雄に、茜はクスクスと可愛らしく笑った。

茜を降ろし、静雄がアイスを受け取ろうとすると店員から「ただいまの期間、ダブルをご注文いただきますとトリプルになるキャンペーンを行っておりますので、もう一つお選びください」と言われた。

「もう一つだと。茜、何にする?」

「私はもう二つ選んだから、最後のは静雄お兄ちゃんが選んでいいよ」

静雄を見上げながら茜はにこにこと笑みを浮かげている。静雄は僅かに迷うと「んじゃ、バニラで」とシンプルなバニラを注文した。

アイスが出てくると予想していたよりも大きく、三つも乗っている為茜に持たせるのは危ないと思い、静雄が持つことにした。

外に出て適当に座れそうなところを見つけると、静雄と茜は隣に並んで座った。

「ほら、気をつけて食えよ」

「ありがとう!」

静雄が持っていたアイスを茜に渡すと、アイスに刺さっていたスプーンを使い茜が一口アイスを食べる。

「んー!冷たくて美味しい!」

これでもかという程の笑顔を浮かべながらアイスを食べていく茜を、静雄は優しく微笑みながら見守る。

ふと二人の目が合うと、茜がスプーンでアイスを掬い静雄へと差し出してきた。

「はい、静雄お兄ちゃんもどうぞ」

「ん、ありがとな」

静雄は茜の手を優しく掴みそのまま茜の手ごとスプーンを口へと運び、アイスを食べた。

「静雄お兄ちゃん!?」

「おー、旨いなこのアイス」

茜は静雄の行動にまたしても驚き頬を真っ赤にするも、静雄は平然とした態度でアイスの感想を口にする。

「うぅ・・・スプーン二本貰えば良かったね」

「そうだな、次食う時は二本貰うか」

頬を赤くしたまま恥ずかしさを隠すようにアイスをもくもくと食べる茜に気づかれないように、静雄は小さく笑みを浮かべる。







(わざと二本貰わなかったって言ったら、怒っかな?)


作品名:キミには内緒 作家名:あきら