袋になどおさまらぬ
そう、沢田綱吉は、きれいだった。雲雀恭弥にしてそう思えた彼は、いまや空のように大きな大きな。雑巾となった。
彼は己に価値を与えない。稀なる血を持つ以外、もはや価値などないと言ったのはいつだったのか。そう、慣習でコーティングされたお歴々よりも、彼の死を何よりも熱心に祈るものよりも、誰よりも。沢田綱吉が、そう言うのだ。
高純度の何かで出来た瞳で、言うのだ。オレは世界で一番ワイドな、雑巾です、と。
それが、雲雀恭弥にとっては不服なのだ。だって雑巾は笑いもしなければ泣きもしないしセックスもできない。繊維の塊でしかない。
だから言う。ねえ、沢田。沢田綱吉。
君は、ネズミだよ、と。
立派に飲食と排泄を繰り返す、有性生殖のあの毛玉。被験体であると同時に害獣のあの哺乳類。
似ているだろう。ボンゴレという群れに何度も実験のように振り回される君。わずかに残った野生を叩き起こして、文字通り窮鼠、自分にのし掛かる罪業に牙をむく君に。
君はネズミだ。薄汚いどぶを笑えるほど短い手足で。不恰好に掻き分ける僕の。
袋におさまらぬ、僕のドブネズミ!
愛玩動物でも、あるね。