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ラボ@ゆっくりのんびり
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仏英SSSシリーズ

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仏英SSS04



 空を見上げると、幾重に連なった雲の隙間から金色の光の筋が何本も地上に降りているのを見つけた。真っ直ぐに地上へ降り注いでいるその光の筋は夏の痛ささえ覚える陽光とは違い、触れることは叶わないがきっと優しく身体を包んでくれるだろう物であることは明らかだった。
 ──綺麗だ。
 まだ小さな子どもの俺には語彙があまりなく、ただ単純に「綺麗だ」とか「美しい」とかの言葉しか言えなかった。その事実に少しのもどかしさを覚えたりしたが、しかし今目の前に広がる情景は「綺麗」や「美しい」などという言葉では表せないものだった。
 オレンジ色に輝く夕焼けを受け、白いはずの雲が淡く染まる。
 そして僅かな隙間から大小さまざまな光の帯が地面へ向かって伸びていた。


「天使の梯子って言うんだよ」

「……天使?」

「そ。天使が空から地上に降りてくる道なんだってさ」


 ぽかんと空を見上げていた俺に言葉を手渡すようにフランスが言った。


「綺麗だよな」


 そう呟いて俺と同じように空を見上げたフランスの横顔をそっと盗み見ながら、俺の中で綺麗と認識されたのは空かお前か一体どちらだろうかと、俺は漠然とそう思っていた。
 夕焼けの色を受けて輝くフランスの薄い金糸は、淡く染まった雲よりも儚げに見えた。