ハガレン短編集【ロイエド前提】
「大佐っっ!!!!!!」
大きな音を立ててドアを開け、開口一番エドは怒りの色を露にロイを呼んだ。
「鋼の」
朝っぱらからどうしたのかと、エドの様子にロイが眉を上げて見せる。
「昨夜誰と居たんだよ?!」
「は?」
エドの言葉の意味が解らず、ロイは首を傾げた。
「何の事だね?」
「しらばっくれんなよっっ!俺、知ってんだぜ?!昨夜ドクター・フレーズとか言う女医と一緒に
居たって!それはそれは激しかったらしいじゃねぇかっっっ!!!」
ロイは暫らく口を紡ぐと、ゆっくりと口を開いた。
「・・・妬いているのか・・・?」
その言葉に、エドの怒りが更に激しくなる。
「ふざけんなっっ!!!」
エドの眦に涙が滲んで来る。
悔しくて、悲しくて。
自分と言う物がありながら、他の人間とベッドを共にするなんて。
やっぱり女性相手の方がいいのかと言う想いが、エドの悔しさを更に大きくさせた。
ロイは深く息を吐くと、エドの傍に歩み寄った。
「一体何を根拠に言っているのか知らないが、私はドクター・フレーズとは寝ていないし、私は
君に責められる筋合いは無いと思うのだがね?」
「嘘だっっ!!」
エドはロイを睨み付けると再び声を上げた。
「じゃあその背中の爪痕は誰の物だってんだよ?!言ってみろよ!!」
「爪痕・・・?」
「ああ!くっきりと付いてんだろ?!ちゃんと知ってんだぜ!!」
エドの言葉に、ロイは「成る程」と小さく紡ぎ、そうしてエドの肩に手を掛けた。
「鋼の・・・ひとつ君に言って置きたい事があるのだが・・・?」
「何だよっ?!」
「私の背にある爪痕は、一昨日君が付けた物だ。」
ロイの言葉に、エドの表情が間の抜けた物に変わる。
「・・・え?」
「君は夢中で全く気付いては居なかっただろうがね。思い切り爪を立てて引っ掻いてくれたお陰で
左右綺麗に爪痕が付いた」
紡がれて行くロイの言葉に、みるみるエドの顔が赤く染まる。
「え・・・でも・・・じゃあ昨夜は・・・」
「昨夜一緒に居たのはホークアイ中尉とハボック少尉だ。大体何処からそんな話が出たんだ?」
エドは推測で語られていたブレダ達の話を真に受けてしまった事を激しく後悔した。
「・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」
エドは頭を垂れ、小さく言葉を紡いだ。
そうして視線だけを上げてロイを観る。
「・・・・・・怒った・・・よね・・・・・・?」
ロイは笑みを浮かべて見せると、エドの髪を掻き上げるように撫で、そうしてエドの唇にキスをした。
ぴくん、と、エドの身体が震える。
「そうやって君が嫉妬してくれると言うのが、私は中々嬉しいがね?」
「・・・・・・馬鹿・・・・・・//////」
恥ずかしそうに呟くと、エドは背を伸ばし、今度は自分からロイにキスをした。
「消えそうになったらまた爪痕付けてやるから」
「キツイね、それは」
くすくすと笑い合い、そうして今度はどちらからとも無く唇を寄せた。
Fin.
作品名:ハガレン短編集【ロイエド前提】 作家名:ゆの