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ラボ@ゆっくりのんびり
ラボ@ゆっくりのんびり
novelistID. 2672
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in my arms.

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 同衾時の言葉は大抵が嘘か大袈裟にまみれているなんてことくらいいくら馬鹿な俺にだって分かっていた。色を売る女も生娘も程度は変わるがそこには打算的で計算的な意志が存在している。同じように男の言葉だって偽りに満ちているのだ。自分を良く見せるためとか相手を気持ち良くさせるためとか理由はいろいろあるけれど、褥のなかで生まれる言葉に含まれる真実など全体の一割もあれば上々だ。
 甘い嘘を嘘と見抜いた上でのやり取りはまるで言葉遊びのようで案外楽しいものだった。嘘の睦言を囁いて呟かれて身体を重ねる。同衾はそういうものだと思っていた。
 頭の芯がじんと滲む快感を覚えながらそんなことを考える。今はまさしくその同衾の最中であるというのに、身体だけがじわりと熱に浮かされて、しかし脳髄は冷水を掛けられているようにひどく冷静だった。すべてを包み込みそうな女の柔らかい肉体ではなく、真逆にすべてを拒否しそうな直線的でかたい身体にむしゃぶりつきながら、時折息を詰めたような声──こいつはいくら舐っても揺すっても決して嬌声を漏らすような真似をしない──が頭上から降ってくるのを耳で拾っていた。


「……ひとつだけ、教えてやろう」


 唇を開いた瞬間を狙って一番弱いところをゆるりと握ったが、眉をしかめて息を詰まらせただけで終わった。眉間に刻まれた皺が何故かいとおしくて口付ける。すると余計なことをするなと言うような声色が俺を刺した。


「何度も言うが、我は貴様を殺してやりたいと常々思っている」

「……ほんと、何度も聞いたな、ソレ」

「……ふん。馬鹿な貴様には何度も言わねば伝わらぬだろうな」


 うるせえな、黙ってろよ。
 そう言葉を続けて行為を進めていく。固く閉じた蕾をゆるゆると撫でると、心底嫌そうなため息が聞こえた。俺の喉がくつくつと音を立てて笑う。


「長宗我部、」


 苛立ちを募らせた声が俺の名を呼ぶ。返事の前にささくれ立った指をゆっくりと突き入れると毛利の切れ長の瞳が歪んだ。一瞬だけ、その瞳に快楽の色が見えた気がして、思わず生唾を飲み込む。その音が思いのほか大きく響いたあと、毛利はまるで塵を見るような目で俺を見た。そして口を利くことすら屈辱だと言わんばかりの声色で小さく、けれどはっきりと呟いた。


「我が貴様を好いているなどと、勘違いするでないぞ」


 知ってるよ。
 そう返すことすら億劫で、俺はただすぐにでも一つになりたくて、まだ充分に解れていないそこへ屹立した自分自身を宛がった。毛利の喉がひくりと一瞬動くのを見てから満足げに腰を勧める。粘着音だけが耳に入って、決して毛利の嬌声は耳朶を舐めることなどなかった。