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【腐向け】責任取って下さい【シンジャ】

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侍女に頼めば料理や酒を用意して貰う事が出来るので、シャルルカンを中心に他の八人将が宮中で酒を飲んでいる事は珍しい事では無い。
 宮中は飲み屋では無いので酒を飲んで騒ぎたいのならば外に飲みに行けという事をいつもなら言うのだが、大きな仕事を片付けたばかりであるので今日はそれを言うつもりは無い。いつもはシャルルカンを中心とした集まりに参加しないジャーファルであったが、今日は珍しくその集まりに参加していた。
 その集まりにいつも参加していなかったのは、決してシャルルカンから集まりに誘われた事が無いからでは無い。勤務時間内に終わらせる事が出来無いほどの仕事の量をいつも抱えているので、仕事があるという理由からそんな誘いに乗った事が無かったからである。他にも、酒がそれ程好きでは無いという理由もある。
 シンドバッドやシャルルカンは酒が好きなようなのだが、こんな物の何が美味しいのかという事が分からない。そう思ってしまうのは、酒に酔わない質なのか酒に酔い気持ちが良くなった事が無いからなのかもしれない。
 完全に素面の状態でまるでお茶でも飲むかのようにして酒を飲んでいると、酒が原因で褐色の肌が赤くなっているシャルルカンから話しかけられた。
「ジャーファルさんは付き合ってる人いないんですか?」
「何でそんな話しを私に振って来るんです」
 シャルルカンが恋愛の話しなどが好きだという事は知っていたが、恋愛ごととは一番縁遠い存在である自分に何故そんな事を訊いて来たのかという事が不思議であった。そして、訊かずとも返事の分かりきった質問を彼が何故わざわざして来たのかという事が不思議であった。どう考えても仕事ばかりしている自分に恋人という存在がいる筈が無い。もしもいたとしたら、相手と全く会っていないという事になる。
「いやー気になって。ここに来てから一度も浮いた話し聞いた事が無いんですけど、まさか付き合った事無いとか無いですよねー」
「お付き合いなどした事ありませんが、何か問題でもありますか?」
 馬鹿にしているのでは無く、自分にも付き合った相手ぐらいいる筈だと思いそんな事をシャルルカンが言ったのだという事は分かっていた。それでも、付き合った事が今まで一度も無かった為彼の発言を聞き腹を立ててしまった。
 酔っているからなのか、シャルルカンは自分の返事を聞き大袈裟なほど驚いた。
「え! マジですか。ジャーファルさん……確かもう二十五でしたよね?」
 二十五歳にもなって誰とも付き合った事が無いという事を知った相手が、驚くのは仕方が無い事だという事は分かっている。それでも、馬鹿にされているように彼の言葉を聞き感じてしまった。
「悪いですか。仕事が忙しくてそんな暇なんかある訳が無いじゃないですか」
「えーそれでも、一人ぐらい付き合った相手ぐらいいそうですけど」
 刺々しい声で言ったので自分が怒っている事は明らかである。先程からのシャルルカンと自分の会話を聞き、おろおろとした様子でこちらを見ている者もいた。それにも拘わらず、酔っているからなのかシャルルカンは自分が怒っている事に全く気が付いていなかった。
「まさかその歳でエッチした事無いとか無いですよね」
 地雷を踏まれ何かが爆発するのをシャルルカンの発言を聞く事によって感じた。
「誰ともこの年までそういう事をした事が無くて悪かったですね!」
「その冗談面白いですね。ははははっ」
 本当の事を言ったというのに、自分の発言を冗談だとシャルルカンは思っているようだ。苛立ちから酒の入った盃を持つ手に力を込めてしまい、ばきっという音が盃からして来た。細腕をジャーファルはしていたが、そんな腕のどこにそんな力があるのかと思うほど力が強かった。
「冗談じゃ無くて悪かったですね」
「えっ……まさか本当に経験無いんですか!」
 驚いたようにシャルルカンはそう言った。漸く彼は自分の言っている事が冗談では無いのだという事に気が付いたようである。しかし彼はまだ自分が怒っている事には気が付いていなかった。
「二十五歳にもなって経験が無くて悪かったですね! そんなに言うなら今からその経験をして来ます!」
 手に持っていた盃を机に叩き付けるように置きながらそう言うと、漸くシャルルカンが自分が怒っているのだという事に気が付いたようである。しくじったという顔をしている彼に呼び止められたのだが、そんな彼の言葉を無視して部屋を出て行った。
 部屋を出て行ったジャーファルが向かったのは、いつもならば集まりに参加している男の元であった。酒好きな彼が何故集まりに参加していないのかというと、王としての業務が残っているからである。そう、ジャーファルが向かっているのはシンドバッドの元であった。
 シンドバッドのいる部屋の中へと入ると、机にへばりつくような格好で座っている彼の姿があった。誰かが部屋へと入って来た事を知り、疲れから机にへばりつくような格好へとなっていた彼は顔をあげこちらを見た。
「どうした、ジャーファル。みんなと飲んでたんじゃ無かったのか? 俺も仕事がやっと終わったんでこれから皆の元に行こうと」

「私と寝て下さい」

 シンドバッドの言葉を遮りそう言うと、端正な顔立ちをした男は目を丸くして自分の言葉に驚いた。
「はあ……? 一体なんで突然そんな事を言い出したんだ」
「シャルルカンにこの歳まで誰とも寝た事が無い事を馬鹿にされたんで、誰かと寝る事にしたんです」
「誰とも寝た事が無いって……。いや、そんな事よりも何でそこで相手を俺にしようと思ったんだ」
 戸惑った様子でそう言ったシンドバッドも、自分が未だに誰とも寝た事が無いとは思っていなかったのだという事がその様子から分かった。それが分かり、絶対にシンドバッドと寝るという事を決意した。
「あなた以外の相手が考えられなかったからです」
 自分の発言を聞き更にシンドバッドは驚いた様子へとなった。ジャーファルの台詞はシンドバッドが驚くのも当然のものであったのだが、何故驚かれてしまったのかという事がジャーファルは分かっていなかった。それは、まるで熱烈な告白のような内容で自分の発言がある事に気が付いていなかったからである。
「私が今まで恋人の一人も作った事が無かったのは、あなたが次々に私の仕事を作るのでそんな時間が無かったからです。あなたの責任なので、その責任を取って私と寝て下さい! それに、あなた以外だとうっかり暗殺してしまいそうなので」
 シンドバッドを相手に選んだのは、先程言ったように彼以外の相手が浮かばなかったという事もあるが、シンドバッド以外が相手だと得意の暗殺術で暗殺してしまいそうであったからだ。穏やかそうな見た目に反して、元は暗殺者であったジャーファルは暗殺術を特技としていた。
「暗殺っておまえなあ……。そんな物騒な」
「そういう訳なので私と寝て下さい!」
 困惑した様子のシンドバッドを無視してそう言うと、気圧されたような様子へとなった彼が首を縦に振った。それを見て満足した後、渋るシンドバッドと共に彼の寝室へと向かった。





 こうやってシンドバッドと初体験をする事になったジャーファルは、その後遅い初恋を経験する事になるのだった。
終幕