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暑い夏の日、俺はある奴の家に向かっていた。
蒸し暑い空気の中に少しだけ涼しい風がふく。
太陽も休むことなく輝き、雲は無かった。
だがこれでも月は七月。
涼しくてもいいのにな。
そう考えながら歩いていると、一つの屋敷にたどり着いた。
ドアの呼び鈴を押す。
少しだけ時間がたつと、扉が開き一人の男が出てきた。
「どちら様…ってお前かよ…」
「俺で悪かったな」
こいつの名前はフランシス、まぁ簡単に言えばフランスだ。
「で、坊っちゃん何のよう?」
「…料理を教えろ」
「それが人にものを頼む態度?嫌に決まってるでしょ。」
あっさり断られる。
確かに前にこいつに料理を教わった時一度だけオーブンを爆発させてしまったのだ。
あの時は散々だった。
「一品だけでいいんだ。頼む、」
「はぁ……全く…火はいじらないでね、あと電化製品にも触らないで。」
と注意されて、彼の屋敷に入っていった。


広い屋敷内は綺麗に掃除をされていて、家具も部屋にぴったりな物ばかりだった。でも俺の家も敗けてないし。
「一品だけでいいんでしょ。」
「あぁ」
フランシスは頭を抱えた。「なんなら作れる?」
「スコーンとフィッシュ&チップス」
「あれはできたって言えないね。食べ物ですらないと思う。」
アーサーの言葉を無視してフランシスは席を立ち、キッチンへ向かった。

料理本を数冊だしてきて、アーサーにも作れそうなものを探す。
なるべく火を使わないもの、オーブン程度でできそうなものを。今回はフランシスがオーブンを管理するので爆発はしないだろう。
その前に、なんでいきなり彼奴は自分のところに来たのだろうか。
一番の疑問だったがそれは後でにしてお菓子の本を開いた。
「ケーキ類は難しいしなぁ…」
ショートケーキやモンブランなどフランシスに任せれば簡単に作れるが、アーサーとなると、難しそうだ。なんかこねて焼くだけみたいなものはないだろうか?そう考えた瞬間頭の中にある一品が思いついた。一品と言えるかは疑問だが、冷蔵庫を開けて材料を確認し、アーサーを呼びにリビングの方へ歩きだした。


「これを作る」
そう言ってアーサーの前に一枚の紙を差し出す。
「クッキー?」
「そう、チョコチップクッキー。」
チョコチップと言うのは少し子供じみていたが、アーサーは微笑んでくれた。
「俺にもできるか?」
「多分ね、できると思うけど」
そう言うとアーサーにエプロンを投げて、自分も服の袖をまくった。

キッチンに行くと、材料を取りだし、計量はフランシス一人でおこなった。
だから、失敗することは無いであろう。
手を洗い調理に取りかかる。
簡単に作れるように、{クッキーのもと}と言う物を買っておいた。
だから牛乳と卵さえあれば生地ができる。
後はチョコチップを用意しておけば平気である。そして、アーサーに泡だて器を手渡した。
ボウルに粉をいれて牛乳を加えて、少しだけ混ぜる。うまく混ざらないようで、アーサーは眉をしかめた。「卵割れる?」
「当たり前だ。」
フランシスの手から乱暴に卵を受けとると、手慣れた手つきで割っていく。
フランシスよりは下手だが。
「よーく混ぜてね、坊っちゃん。」
そう言って少しだけ牛乳を足した。
混ぜやすくなったようでアーサーは満足していた。
オーブンの余熱が終わり、チョコチップを生地に加えて混ぜ合わせる。
そして、型抜きをし、並べていく。
「やけに真面目だね、誰かに送るの?」
「いや、別にそんなことはない。ただうまくできたらいいなって。」
いつものバカみたいにツンツンしているアーサーが今はまるで楽しんでいるかのように微笑んでいる。
不気味(笑)
「焼くよ」
「……」
うまく焼けるか不安なのか、オーブンの前から動こうとはしなかった。
スイッチを押して焼き始める。
「アーサー、紅茶いれてあげるから少し休んだら?焼けるまであと三十分もあるし。」
「そうなのか?じゃあ貰う。」
そう言って二人はリビングに向かって歩いた。


「クーラーつけてるから、涼しいでしょ。」
「少しはエコしろよ」
夜はつけてないから。と笑う。
キッチンの方からはクッキーの匂いが漂ってくる。
フランシスは紅茶をカップに注ぎアーサーに渡した。「アフタヌーンティーか?アールグレイ?」
「アフタヌーンティーだよ。」
アフタヌーンの匂いとお菓子の匂いが混じって、甘かった。
それを時間をかけながら飲み干して、焼けるのをじっと待った。



キッチンからベルの音が鳴る。
二人はすぐさまオーブンに向かった。
そして鍋掴みを手にはめて、オーブンを開く。
綺麗に焼けているクッキーが姿を表した。形が崩れてしまっていたものも少しあったが、ほとんどが綺麗に焼けている。
「まじかよ…」
アーサーは微笑んだ。
少し冷ましてから、お皿に移し、綺麗に並べた。
「おめでとー!クッキーがやっと焼けるようになったね(笑)」
「うるせぇな!!」
口喧嘩が始まったが、今のアーサーは何故か機嫌が良く、喧嘩はすぐに幕を下ろした。
「俺が作ったんだよな…」今でもまだ驚きを隠せずにいて、クッキーを一枚だけ手にとりほうばってみる。口の中にいれた瞬間甘さが広がり、チョコチップで甘さは二倍だ。
だが甘すぎず、いくら食べても平気なくらいだった。二人で食べきれなかった分をきれいな袋に詰めていき、アーサーに渡した。
「はいどうぞ。余り。」
「今日はいきなり邪魔して悪かったな、だが礼は言うぞ、ありがとう。俺は紳士だから礼を言うのは当たり前だからなっ」
「そう。まぁ暇潰しにはなったし、お兄さんも楽しかったし、別にもういいみたいな、言っとくけど次は絶対おしえないからな」
そう言うとフランシスは扉を閉めた。
軽く手を降ってその場を後にした。
作品名:cookie 作家名:君空