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【Noelシリーズ 3】美味しい食事

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そうして翌日の昼に近い時間、約束どおりのドラコ手作りのブランチは出来上がっていた。
シャワーを浴びてすっきりと身支度を整えたハリーは、ご機嫌な笑顔のままテーブルに近づく。

(あのドラコが作っていれたんだ、自分のために!)
あまりの嬉しさに昨晩は寝つきが悪くて眠るのが遅くなり、今朝は朝寝坊をしてしまったほど楽しみにしていたハリーだった。
ワクワクとした面持ちで暖かな湯気が立ち上っている皿の前でしばし立ち止まり、――――絶句した。

何度も瞬きを繰り返しつつ、恐る恐る目の前にいる相手に尋ねてみる。

「……ドラコ、これは炭?」
黒焦げな物体を指差した。

「いーーーや、チキンソテーだ。ちょっと焼きすぎたけどな」
デニム地のエプロンを腰に巻いたドラコはどこか得意そうだけど、ハリーには炭のかたまりにしか見えなかった。

「わざわざ僕が作ってやったなんだ。遠慮なく食べろ」
ドラコらしい尊大な声は威厳とプレッシャーに満ちている。
ハリーは無言で椅子に腰を降ろした。
(食べたいと言ったのは僕だし、大概のものは食べれるけど、これは………)
ハリーはおもむろに意味もなくテーブルに乗っている水をゴクゴクと飲む。

そうしてドラコの無言の圧力に意を決したように、それをフォークに突き刺して口に運ぶ。
見た目どおりそれはシャリシャリという炭の音しかしない。
水を先に飲んでおいて正解だった。
口に広がる味は苦くて、乾ききって石のように硬くなりボソボソの代物だった。

これは炭だ!
絶対に誰が何と言おうと石炭だっ!!
なんでココまで焼くのかな?
これを燃料にバーベキューが出来るよ、きっと。

などという言葉が思わず口をついて出そうになる。
でも逆にドラコの瞳は自分の料理の腕を褒めて欲しそうだ。

……ええっと、なにか褒めなきゃ。

などと考えて、何か一つでもいいところを探そうとしても、どうしても見つからない。

まさか「この盛り付けている皿の色がいいね」なんて言うことは出来ないし……。

うーん……と唸りつつふと横を見ると、ノエルは猫用のレトルトパックの餌を優雅に食べているのが目に入った。

それは少し暖められた、中華風リゾットみたいだ。

ハリーはまた元はチキンソテーだった真っ黒なものを口に入れて、ジャリジャリと噛み砕きながら、横目でチラリと隣を見詰めて、やはりノエルのほうが絶対に優遇されていると、しみじみと思ったのだった。


           ■END■