グロリア
だって、触られるたび自分が穢れた気がする。
だから触ってこないで!近寄らないで!
僕は、この世界に自分とあの人さえいればいいのだから・・・・・
「それじゃあ、帝人君。」
「じゃあな、帝人!」
「うん、また明日ね!」
そういって、僕は、友達たちと別れた。
誰もいなくなると、僕の心の中は僕とあの人だけになった。
もう、帰りたい。あの人のもとに。
そんなことを思っていると、向こうから静雄さんがやってきた。
正直、誰とも会いたくない。
見つからないように、気配を消したはずなのに静雄さんはこちらにやってきた。
「よう、帝人。」
こうなっては、逃げられない。逃走失敗である。
「こんにちは、静雄さん。どうなされたんですか?」
僕に出来る精一杯の笑顔をしてみた。これは、成功みたいだ。
静雄さんはそんな僕には気づかず、話を続けた。
「いや、別に用はないんだが…、お前が見えたから話しかけただけだ。」
「そうですか・・・。」
そんなことで、話しかけないでほしい。僕は、早くあの人のもとに帰りたいのだ。
「あの、僕用事があるのでこれで失礼します。」
「ああ、そうか。送ろうか?」
「いいえ、僕は一人で大丈夫です。」
「そうか・・・、それならいいんだが・・・でも、気をつけろよ。お前、女の子なんだから・・。」
要らぬお世話だ。
「はい、なんかあったら連絡しますので・・。」
「ああ、ノミ虫には気をつけろよ。いつでも連絡してくれたら、退治しに行ってやる。」
「はい、それではまた。」
「ああ」
そうして、僕は歩き出す。
静雄さんは、ホントうざい。
なんで、僕が大切な人をわざわざ危険な目に合わせなくてはいけないのか?
そんなことするはずないのに・・。
そして僕は、家がある新宿へと向かった。
「ただいま帰りました。」
「おかえり」
僕は大切な人にあいさつを済ませ、お風呂場へと向かった。
ホント、いやになる。
僕は、触ってほしくないのに勝手に触ってくる。僕から触ることがないことに気づいているのだろうか?
そんなことを考えつつ、着替えを済ませ大切な人のへ向かう。
「お帰り、帝ちゃん。」
「ただいま、臨也さん!!」
そういって、僕は臨也さんに抱きついた。
「お疲れ様。」
「ほんとですよ。あの人たちと一緒にいたくないのに、勝手にべたべたしてくるし。臨也さんの悪口いうし、・・・ほんとヤだ。僕は、臨也さんのものなのに・・・。」
「そうだね・・・。」
と言って僕の髪をやさしくなでてくれた。
僕は、臨也さんしかいらない。
世界が終ったって、臨也さんと一緒なら恐くない。
グロリア
(そんな僕はおかしいですか?)
僕と臨也さんに栄光を・・