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みっふー♪
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ヅラ子とベス子のSM(すこし・ミステリー)劇場

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「……マ夕゛オさん、奥さんに会うためにグラサン新調したのかな、」
眠ったままのおじさんを見つめながら、ぽつりと少年が言った。弟の気持ちを汲むように姉が続けた。
「そうね、せっかくしばらくぶりなのに、ビニテぐるぐるじゃカッコつかないものね、」
――私たちもマ夕゛オさんに新しい半纏ぐらい贈ってあげればよかったわ、姉が微笑んだ。
「姉上……」
少年と姉はそっと手を取り合った。ひとりのグラサンおじさんのために睦まじき姉弟の間にあわや入りかけた深い亀裂、いや、そうしてふたり同じグラサンおじさんを愛した、その事実がいまや姉弟の絆をより固く繋ぎ合わせたのかもしれない、姉弟の傍らで先生は頷きつつ感慨を深めた。
「……センセーッ! は、はんじゅくオムレツと温玉のはんぷちぃだんぷちぃがっ……!」
もはや気を逸らすのも限界らしい、うなされた天パがとうとううわごとを漏らし始めた。
「(たぶん)もーちょっとで息を吹き返しますからっ」
――頑張って! おじさんのグラサンを握ったまま先生が励ました。
「じゃあボクっ、このお湯かけますっ」
「私もっ!」
姉弟は協力しておじさんにポットのお湯をだばだばかけ始めた。
「ぅあおあちっ」
そこそこの温度のやつを容赦なくぶっかけられて、天パはおじさんに抱き付いたままゴロゴロ地面を転がった。
「ダメです動いちゃお湯が勿体ないっ」
先生が止めようとしたが、あっちぃモンはあっちいんだもんで仕方がない、
――ばっしゃーん!!
おじさんと天パは転がりもつれ合いながら池の中に落ちた。
「マ夕゛オさん!」
「マ夕゛オさんっ」
「マ……っ夕゛オさんっ!」
姉弟と先生が揃って池の縁から身を乗り出した。
「だはーーーっ!!!」
おじさんをおぶった天パが水の上に顔を出した。
「マ夕゛オさんっ!!!」
飛び着いた三人におじさんはすぐさま引き上げられた。天パはほっとかれた。
「……。」
おじさんの生温かさにひたすら敢えていたりお湯ぶっかけられたり水に落ちたり、なのに誰にもちっとも優しくしてもらえなかったり、天パの精神状態は崩壊寸前にズタボロだった。
「へっくしょっ!」
肩をさすってひとりぶるぶる震える天パの姿に、屋根の上から見物していた少女は胸がきゅんとした。
(……。)
――そっかぁ〜、あめのひにずぶぬれの子犬拾いたくなるキモチってこんなかぁ〜、すこんぶボーをちゅーちゅーしながら、なるほどとしみじみ思う少女であった。


+++