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寂しさのリレー

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「お前と一緒にいるとひどく寂しくなることがある。」
暗闇の中で三成がつぶやく。何故。俺は彼の手をにぎる。夜明けが近かった。夜明け特有の寂しさを彼も覚えたということだろうか?いや、そんな一時的なものではないのだろう。これ以上近くに生きることができようかというほど近いところにあって、彼は寂しいという。事実、何か埋められることのない寂しさを彼は常に持っている。
「どんなに一緒にいても個体として離れているのだ。お前は俺にはなれない。必然的に離れていく。」
「左近がどこにもいかなければいいとおっしゃる?」
「いや、そういう簡単な問題ではないのだ。たとえば、水のように、繋がっていられればよいのにと。」
なんとも繊細な理想をもっていらっしゃる。俺が笑うと、三成は怒ったように、あるいは少しはずかしくなったのか、顔をそむけた。
「一緒にあることがすべてではありませんよ、殿。」
「ほう。」
「たとえば、左近が市街に出、美しい扇子を見たとする。するととたんに殿に買って帰ろうと思います。殿がそれをもっていることを想像する。想像するだけで左近はなんだか嬉しいような気持ちになります。殿の歓びになる顔を想像して駆けて帰る途中、左近はずっと幸せな気分でいられるでしょう?」
「なるほど、しかし俺がもし城にいなかったらお前は落胆するだろう。」
「まぁ、確かに。殿がいるにこしたことはありませんなぁ。」
「まぁ、言いたいことはわかった。思い出せるうちは左近とともにいられるということか、なるほど。」
「殿、それでは俺が死ぬことが前提みたいだ。」
「それは仕方のないことだ。人は寿命には逆らえぬ。」
左近は俺がどんなに長く生きたとしても先に死ぬ。彼は俺の腕を抜け出して朝の支度をする、と言った。彼の後ろ姿を何度も見てきた。この人をこのまま送り出せば、それこそ俺より先に死ぬのではないか、という危うさをいつも感じ続けた。だが、俺はええ、またあとで、と送り出す言葉をかけるのだ。一緒に死なないことがこんなに怖いなんてな、と思いながら、もし彼が俺より先に死のうとしているなら、そのときは俺が身を呈して守ってさしあげよう、と思う。彼はいやだというだろうけれど。

彼の瞳やまとう空気、温度、声、すべてを覚えていたいものだ。そうだ、二人一緒に死ぬことはできない。けして
それはとても寂しいことだけれど
作品名:寂しさのリレー 作家名:桜香湖