二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

とある柔道部の日常

INDEX|1ページ/1ページ|

 

すっ、睨みあうようにして向かい合った相手の手が俺の襟元に伸びてくる。
俺はその手を素早く払い、少し距離を置く。
素足で畳の上を早く移動したため、足が少しひりひりする。

「どうしました?避けるだけですか?」
「はっ、まさか。」

俺は左手を相手―――、本田の奥襟を掴もうと伸ばす。
掴めた。
その左手を力強く引きよせて、右手で奴の袖を握れば相手も同じようにそうする。

まぁ、左右逆だがな。

「今日は、やけに素直じぇねぇか?副部長サン」
「・・・これからその余裕ぶったお顔が歪むのを想像していたんですよ。部長」

その、小馬鹿にしたような口調にイラつきを覚え左手で掴んでいた奥襟(いわゆる釣手だ)を引け寄せれば身長差の所為で正に吊り下げているような状態になる。

「ふん。でも、今日は俺が勝つぜ?」
「口では、どうとでも言えますよ。」

俺は、奴の左足に俺の左足を絡めて倒す。
ただし、相手が倒れる直前に離す。

「やあ、」

そして、柔道で相手を倒す時にお決まりの声を掛けた。


右手に掴んだままの袖を掴んだまま近付き、しゃがみこむ。
相手を立ち上がらせるためではない。
寝技を掛けて、相手が体制を整えるのを阻止するためだ。

掴んでいる袖の方へ進み、袖を掴んでいた右手を本田の首の後ろを通るように回し、左手は

「毎回思うんですけどね、人の足の間に手ぇ差し込んで楽しいですか?」
「うっせ、1番使いやすいんだよ。」

そう言い返せば、本田が溜息をつく。
顎で、相手の腹を抑えているので本田の顔が上にある。

「軽い、ちゃんと食べてます?」
「・・・。」

いつの間にか、本田の足が俺の足に絡んでいた。
ぐい、

「うっ、」

力強く帯を引かれ一瞬息が詰まる。

「形成逆転です。」

その声がした時、俺の視界が回る。

「ほら、口ほどにも無い。」

意地の悪そうな顔をした本田の顔が近くにあった。

「ちく、しょう」

袈裟固め、か。


ピ、ピ、ピーーー

3分に設定されていた、タイマーが鳴り試合の終了を知らせた。


『ありがとうございました』

二人で声を揃えて、終わりの挨拶をする。

「ふふ、だから私が勝つといったでしょう?」

そう言いつつも、満足そうに笑いながら俺に手を差し出してきた。
俺は、その手を叩き落とし

「次は、負けねぇ」

恒例となってしまった捨て台詞を残し、更衣室に去っていく。






おまけ


「ねぇ!菊っ」
「あ、近付かないで下さいね?私すごく汗かいてますから。」
「ヴぇー、まあいっか」
「で、どうしたんです?」
「何でアーサーにだけ、投げ技使わないの?」

菊の表情が固まった。

「お、いい所に目をつけたなぁフェリ」
「あーフランシス兄ちゃん。いい所って?」
「そりゃあ、【愛】でしょ」
「フランシスさん?後でルートさんと乱捕り30本です。」
「ちょ、菊ちゃん!そんなのって、」
「ヴぇー、菊真っ赤ー」
「フェリ君、用事は済んだでしょう?部外者は、早く立ち去ってくださいね?」
「了解であります。」



皆が立ち去った事を確認して、本田は頬に手をやる。

熱かった。

「・・・冗談を、これは【愛】なんかじゃない。」

左利き、華奢だが高い背に素早い動き、並外れた洞察力。

「血、湧き肉踊る。っていうのは正にこんなことなんでしょうね。」

私には無い、才能。
あと数年、いや・・・近いうちに彼は私よりも強くなる。

「ああ、愉しみです。」

そのときは、また

「お相手願いたいものです。」
作品名:とある柔道部の日常 作家名:でいじぃ