ヒバツナ1本目。
執務室の扉が開く。
「待ってたよ」
そこに本来座るべき人間が座らず、座らない筈の人間が座っている。
「…つなよし」
座って、声をかけた男ー雲雀ーは口角をあげ笑っている。
「雲雀さん、あなた」
何人、殺したんですか?
雲雀のスーツには所々にしみがついていた。
けれど、綱吉にはほかの人間の臭いが付いてると気づいた。
「さぁね。噛み殺した人間の数なんていちいち覚えてないよ。
…それより、つなよし。」
僕との約束、覚えてるよね?
ー僕が、ここの群れを噛み殺したら、きみはボンゴレもボスという役職もきみとかかわりを持った全ての人間を捨てて、僕だけのものになる。
いつの間にか綱吉の身体を抱き込み、形の良い耳に息を吹きかけるように言葉を紡いだ雲雀に綱吉は、小さくちいさく、首を縦に頷かせた。
それを確認した雲雀は綱吉をそのまま抱きかかえたまま、執務室から飛び降りバイクに乗せ、夜のイタリアの街へと消えて行った。
ーきみが全て要らないと言うなら、僕は全てを壊してあげる。
だから、きみも全てを捨てて。僕だけをみていて・必要として。
僕にもきみだけが必要だから。
終わり。