うつろな愛
お互いのために身体を重ねて。
その間に愛なんていうものは存在しないことなど知っていた。
それは告白をされた時からかもしれないし、初めて抱き合った夜からかもしれない。
ただ、お互いの快楽を満たすためだけの、空しいつながり。
名を呼ぶのも、愛を囁くのも、唇を重ねるのも、ただそうしないと可笑しいからというだけで続けている。
青峰。
名前を呼ばれて振り返る。そうしたらいきなり抱きつかれて軽く唇をふさがれる。不機嫌そうになんだよと言えば何でもないわと返される。
なー、今日もせーへん?
唐突に言われて、しゃーねーなと返す自分もどうかしてるなと思った。
―ツキミソウ―うつろな愛