二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

昼下がり、大人の欲望の行方〔銀新〕

INDEX|1ページ/1ページ|

 



たとえばその性別が男であることとか、擦れているようでぴっかぴかの純粋な十代であることとか、問題は正直言って山積みと言っていいだろう。実際この関係を人に話せば、銀時は当然犯罪者呼ばわり間違いなしかもしれない。ぼんやりとジャンプ片手にソファーに寝転びながら、その先に見える律儀丁寧に掃除をしている新八の姿を視界に捉えてそう思う。ジャンプを持つ手が疲れてきていた。
最初、別にそんな感情があったわけじゃない。まあ、神楽にしてもそうだが自分には縁のなかった年齢の、年下ゆえの青臭いものが可愛らしくはあったかもしれない。でもその時はまだ世間での常識の範疇。一体全体どうしてこの地味と評価されがちの眼鏡の、極め付けはアイドルおたくの少年を自分は布団に押し付けて挙句の果てには欲望を突っ込んでしまうのだろうか。
その姿を追い続ける。まだこちらの視線にはどうやら気づいてないようだ。
アイドルおたくはまあ、それにしては奴は可愛いというのはおたくに対する偏見と今となってはの贔屓目なのかもしれないが、あの眼鏡を乱暴に引き抜いた時の顔は、銀時の欲望を抑えるのには無理がある。最初にしたのはいつだったかな?
伏せた視線で床を見つめながら掃除を続けている。この風景を良く見るのだが、あの眼鏡がどうして落ちないのか銀時は謎だ。下を向いた程度でいちいち眼鏡が落ちては眼鏡の意味がないのだという理屈はわかるが、かけたことのない銀時にしたら重力の法則に従ってその眼鏡は落ちるべきだと思った。じっと見つめたまま、それだけをいつしか考えるようになっていた。この銀さんの矛先を、まだかまだかと待ち続けたジャンプをも忘れさせるとは末恐ろしい奴だなんて勝手なことを思ってはにやけてしまう。
「何て顔してるんですか?」
気がつけば箒を持ったまま、新八はこちらを見ている。その目はまるで眼鏡を通して呆れたような視線だ。ああ、子供はそれでいい。世の中のずるい大人を簡単に信じるな。
「昼間っからそんないやらしい顔してジャンプ読むのはやめてくだいよ」
「バカだなー新八。昼、TVつけてみ?退屈な主婦を盛り上げるエロい展開の昼ドラがやってんでしょーが」
そして例に漏れず暇で退屈な俺はむらむらしているわけで、至極当然だと銀時は言いたい。とはいえ、相手はそこで箒片手に掃除をしている新八だということは棚上げだ。
「なあ、お前その眼鏡、何で落ちねえの?」
「意味がわかるように話してください」
「まあ、それを無理矢理外すのが楽しいんだけどね、俺は」
「全然話の展開が見えないんですけど」
ため息と共に新八はそう零す。銀時にはそのため息すら、行為の最中の吐息を連想させて、ますますどうにもならない。
「大体、なんだってそんな顔してるんです。ジャンプにそんな漫画ありましたっけ?」
「お前の眼鏡、下向いたら落ちないかなってな。何で落ちねえんだよ」
まるで納得いかないと文句を言うように銀時が言うので、新八は眼鏡の蔓を持ち上げると至極当然って顔して言う。
「そりゃあ下向く度眼鏡が外れて、その度銀さんに欲情されたら困りますからね」
「ああ、なるほどね」
意外にも新八の言葉に納得したように銀時が言う。その様子を当然不審に感じた新八だったが次の行動ですぐにその理由がわかった。
銀時は今までだらけていたのが嘘のような速さで新八の腕をつかみ、そのままソファーに押し倒す。そしてやっぱり眼鏡を強引に引き抜いて、床へと置いた。
「ちょっ、銀さん」
「だから俺にはこの眼鏡を強引に奪う権利があるわけだな」
「そんな権利ありません!」
じたばたとまだ暴れるので、そのまま煩い口を乱暴に塞いだ。すかさず舌をしのびこませて、柔らかい新八の舌に絡ませる。びくりと一度体が反応したと思うと、新八は結局何も出来なくなった。そうだ、そのくらいは大人に有利なことが無いと太刀打ち出来やしない。
「っ…ぁ、は」
時々零れる声は、静まった明るい部屋に響いて一層いやらしく感じる。震える手で捕まれたら、もう銀時は止まらない。
長いキスの後、ようやく唇を離してやると糸を引いた。それを口元で拭うと、新八は困ったような、それでいて欲情して欲しがるような甘えた視線を潤ませている。欲目か?
「それで銀さんは、この後強引に僕を食べる権利があるわけですか?」
「その権利はお前にやってもいいけどどうする?」
そう言うと、新八はちらりと壁にかかった時計を確認する。それが何を意味するか銀時にはすぐにわかる。神楽が帰るまでの時間、夕食の買出しにいく時間、二人の甘い時間のタイムリミット。
「時間はありますけど…」
「お前、可愛くないね」
「…今更僕に権利を譲る銀さんのがずっとずるいです」
「大人はずるいもんなんだよ」
「銀さんなんか、大人じゃありません」
「じゃあ、俺の我侭聞いてくれんの?」
返事の代わりにキス。ちゅっと音がするくらいの、可愛いキス。こいつどうしてくれよう。
慣れた手つきで新八の着物をするりと肩から落とす。そこから見える白い肌に、いくつものキスを残そうと、銀時は唇を寄せる。もしそれが着物を着ても見える場所でもかまわない。いや、その方が望ましい。ほら、やっぱり大人はずるいものなのだ。
「ぁ…ん、銀さん」
新八は甘い声を上げ、そんなこと気にする余裕もないし、持たせるつもりも毛頭ない。
ゴムあったっけな?なんて頭の隅で銀時は考える。
この先はもう、当然「努力」「友情」「勝利」をキーワードにしている少年ジャンプでは連載出来ない内容だ。まあ、新八の眼鏡をどう外すかの努力、そして友情っちゃあ友情?その割には少し、いやずいぶん行き過ぎた友情でR指定、そして銀時は勝利して今日も新八に溺れる。
読みかけのジャンプはどこか頭の隅。