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こらぼでほすと カラオケでごー1

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カラオケなんて、お下品なものをセレブな女性はやらない。と、思っていてはいけない。

「さあ、キラちゃんっっっ、いくわよーーーっっ。」

「おっけーエザリアママっっ。」

 息子がバイトではない日に、やってきたエザリアは、ご機嫌で、キラと、ウインクを歌っていたりする。こういう遊びを、教えたのは、もちろん、天下御免天然電波なキラである。それまで歌謡曲など聴かなかったはずの、エザリアは、キラと悟空のウインクに嵌ってしまった。自分も踊りたいという願望に囚われて、フリまで覚えたのだ。

「次は、俺な? 」

 わきゃわきゃと踊っているふたりを見て、悟浄が、次の曲を入力する。うっかりと、画面に出た曲名を見てしまった鷹は、盛大に、ジントニックを噴出した。

「おいおい、赤毛ちゃんさあー、歌うのか? それ。」

「歌うぜ。似てんだよ、声質。」

「バーカ言ってろっっ。」

 そして、一曲きっちりと踊り終えたエザリアが拍手と共に、席につくと、なんだか物悲しい曲が流れてきた。それで、曲名が判明してしまった三蔵は、懐にしまっってあるブツの安全装置を解除した。

「じゃ、俺が懐かしいとこをいきまーすっっ。・・・・・水割りをくださぁーい、愛した数だぁーけ、今夜は思い切り酔ってみたいのぉーよぉー・・・・」

 裏声で歌いだした悟浄に、その場は冷たく固まったのは、言うまでもないことだ。すかさず、八戒が、銀の盆で、赤毛を殴り倒して曲を途中停止した。

「すいません、エザリア様。次は、誰かご指名なさいますか? 」

 何もなかったように、和やかな笑顔で八戒がお辞儀すると、今度は、悟空が、「じゃあ。珍しいヤツね。」 と、番号を入力する。曲名は、普通だ。悟空が歌うというなら、可愛いだろう。しかし、とことことハンドマイクを持って向かった先は紫の瞳の高僧だった。

「はい、さんぞー。いつものやつ。」

「ああ? 何を入れたんだ? サル。」

「いつものだよ。ほら、曲が始まったぜ。」

 曲がわかったら、ああ、と、マイクを口に近づけた。えーーーーーーーーーっと、全員が顔色を変えた。

「・・・あー私の恋はぁ~南のぉ~風に乗ってはしるぅわぁ~あー青い風ぇぇぇ切ってぇー走るぅぅあの島へぇぇぇ~」

 目を瞑って、歌詞も見ずに歌う高僧は、可愛かった。いや、声自体は、可愛くないのだが、その仕草が妙に可愛い。

・・・・なぜだ? なぜ、それか持ち歌なんだ? 腐れ坊主・・・・・・

 エザリア以外が、その場で心で突っ込んだ。一曲綺麗に歌い終わると、ぽいっとマイクを悟空に投げている。ふう、と、とても気分良かった様子で、満足そうなのが痛い。

「じゃあ、次は、八戒の持ち歌な。」

 ぴっぽっぱと、また、悟空が操作して、始まったのは、「魅せられて」だ。もちろん、八戒もフリつきだ。また、これが艶かしいのだから、たまらない。流し目を向けられた約一名が、ドタバタと洗面所に走っていたりするが、無視だ。

「さあ、エザリア様。次は、何にしましょうか? 」

 歌い終わった八戒も、満足そうに、マイクを、お客様に差し向ける。

「そうね、誰か、あれを歌って欲しいわ。プロジェクトエックスの主題歌。」

「ああ、はいはい。えーっと、誰か歌えますか? 」

 誰もいなければ、私が・・・と、ハイネが手を挙げようとしたら、意外なところから手が上がった。

「私でよければ。」

「じゃあ、お願いね。派手にやってちょうだい。」

「承知しました。では、紅白バージョンとコンサートバージョンのミックスです。」

 マイクを持ったのは、虎だった。紅白バージョンはわかるがコンサートバージョンの振り付けを知っているということは、ファンだと言ったも同然だ。

・・・虎は、意外と暗いのが好きなんだなあー・・・・

 と、古い曲を知っている大人組。

・・・虎さんは、烈しいの歌うんだねぇー・・・

 と、新しいのしか知らない子供組。

「しかし、性格が出るよねぇートダカさん。」

 避難した鷹は、しみじみと、トダカの前のカウンターで呟いた。