ヒーロー
そう、思ってしまった。
そういう人なのだとどこかで分かっていた。
いるはずのない人の声だった。
けれど、その手も声も。他の誰かと間違えるわけがなくて。
折れそうな心を引きずり戻す。
それが、どんな感情に由来するかなんて知らない。
ただ折れることなくいられたのが事実というだけで。
無茶ばかりだし、考えなしだし。
決して理想的だなんて思いはしないのに。
あぁ、この人はヒーローなのだと。そう思ってしまって。
どうしてこんな人が僕のヒーローなんだかと思わなくもないけれど。
仕方ないから、そう思っておきますよ。虎徹さん。