中毒者
あの日切り出したのは貴方の方だったではないですか
「別れよう」
私に告げられた冷たい言葉
それを守って今まで耐えてきたのに
どうしてこのタイミングで私のもとへ訪れて、泣いて
あともう一歩で忘れられたかもしれないのに
白い肌、翠の瞳、煌めく髪、甘い声
全て忘れるはずだったのに
「お前がいないとダメなんだ」
私だって同じです
そう言って泣く貴方に触れてもよいのですか?
神様が仕組んだ幻ではないのですよね
そっと触れて抱きしめて
ああ温かい
柔らかい肌、潤んだ瞳、濡れた髪、震える声
記憶よりずっと美しくて
ずっと耐えてきたのだから
それなりのことはさせていただきますよ?
貴方の涙が枯れるまで
お付き合いして差し上げましょう―
ああ所詮私も中毒者なのですね
貴方なしでは生きていけない
一人では無理なのです
他の人では埋められないのです
貴方でなくては
必要なのです、貴方が
ねぇ、私のことも必要としてくれますか?
私と同じ気持ちを貴方も抱いていますか
この私の全てをかけて
永遠に貴方を愛し続けましょう