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スピカ@黒桜
スピカ@黒桜
novelistID. 28069
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雨とバランス

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「ごめんな」

「なんで貴方が謝るんですか」

「ほら、俺ってその・・・雨男、だから」

「そんなこと気にしてらしたんですか!?」

「ずっと前から雨が降ったら俺の責任ってことにされてたんだ」

「貴方のせいではありません、この時期は私の国では雨がふりやすいのです」

シトシトと梅雨らしい雨が降ってくる

絶え間なく降り続けるその様子を窓越しに見つめる二人

「せっかく菊の家に遊びに来たのにこの雨じゃあな・・・」

「家のなかでもできることはいろいろあります」

「それは俺を誘ってるのか?」

「どうとられてもよろしいですよ」

クスリと含み笑いをする菊

「アーサーさん、貴方は雨が嫌いですか?」

「べ、別に嫌いってわけでもないがあまり好きではないな」

「私は好きですよ、雨」

何を思い立ったかそのまま外に出る菊

「おい、濡れるぞ!」

アーサーがあわてて追いかける

「雨がなくては大地は乾いてしまいます」

そうすれば花も咲けなくなるでしょう?と漆黒の瞳をきらめかせる

「なにもかも世界はバランスをとっているのです」

雨のせいで濡れた髪が艶めいた光をはなつ

「なら俺のバランスは菊で整えられてるんだな」

「どういうことです?」

「菊は恵みの雨ってことさ」

そう言いながらぎゅうと後ろから抱きついてくる

「濡れちゃったな」

「貴方もですよ」

「こっちの方がエロくてそそるぜ」

「この変態英国紳士・・・」

雨は絶えず二人を濡らしてゆく
作品名:雨とバランス 作家名:スピカ@黒桜