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仁美@hitomi
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ちょっと寂しかっただけだよ

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「英二英二、」

にこにこニコニコ。
音がする。にこにこニコニコって音が。
手を招き猫みたいに振って不二が呼んできた。今日も今日とて不二の家に遊びにきていた俺はその様子にあからさまに眉を顰めてみる。するときょとんといった風に不二は目を丸めた。
ちょっと超可愛い。



…いやいやいや。
不二がこんな笑顔を浮かべる時は大抵何か企んでる時なんだから。迂闊に近寄ってはいけない。

「英二ってば」
「なに?」
「こっち、おいでよ」
「……なんで?」
「抱き締めたくなった」
「やだよ何急に、サボテンでも抱き締めてなよ」
「棘が痛い」

確かに。
…いやいやいや。


「だって僕たち恋人同士じゃない」
「は?」
「違うの?」
「え、や、まあなんというか当たらずも遠からずというか」
「ね、恋人だろ」
「わー勝手に翻訳してるよすげー」
「だから抱き締めるぐらいいいじゃない、理由なんていらないだろ」

なんかキャラ違くないか。~だろ、とか言わない俺の知ってる不二は言わない。


そこで手招きしていた不二は徐に膝立ちして此方に発進してきた。逃げる間もなく抱き締められてそのまま床に背中がぶつかる痛い。つまり俺は後ろ向きに倒れた。だってこんな、自分よりは小柄とはいえ中学生の男子がいきなり突撃してきたらそりゃ支えきれないって。



「つか強行突破なら手招きとかしなきゃいいじゃん初めから。俺拒否権ないじゃん」
「まあまあ」

あーどうか誰にもこんな場面見られませんように。不二の母さん帰ってこないでよ本当。


ブツブツ呟きながらも腕を回し返してる辺り、俺もまんざらでもないんだよなあコレは。
流されてる。…このまま不二に流されて生きていくはめになったらどうしよう。


全ての責任は抱き付いてくるクラスメイトになすりつけて、取り敢えずはその温もりを満喫することにする。

というか、これじゃ抱き締めるじゃなく抱き付くじゃん不二。


-END-
                            (あとがき→)