レイン、レイン、
星が見えないし、なんか気持ちが落ち込む。(なんて言ったら、多分周りの友人たちには「お前が?」って笑われるだろうけど)(俺にだって落ち込むときくらいあるよ!)
何より、濡れて張り付く服や髪の感覚がどうにも好きじゃないんだよなぁ…。ズボンも重たくて歩きづらい。早く家に帰って洗濯しないと。近道しようと、普段と違い人影どころか生き物の気配も全くない公園を通り抜けようとした…その時、視界の端に映った蒼色に思わず振り返り、足を止めた。
蒼色は制服(確か、近くにある進学校の)を身にまとった女の子の長い髪だった。(高校生がこんな時間にこんな場所で何してるんだろ…)(しかも、傘もささないで)
それにしても、きれいな蒼色…晴れた日の空みたい。(皮肉にも俺の名前も空だけど)じっと見つめてしまっていた俺の視線に気づいたのか、女の子がゆっくり振り返る。その顔を見てはっとした。
雨に濡れてしまってわからないけど、彼女は泣いてる。きっと。
「……」
「! あ、いやその、怪しいものでは…」
手を振って否定するけど、彼女は何も言わず何も動かず。視線もどこか遠くを見ていた。どうしたらいいのかわからないけど、どうにかしたい。考えて、俺はさしていた傘を彼女の上にかざした。
「………?」
雨粒が降り注がなくなって、不思議そうに彼女が俺を見る。やっと目が合った。俺は彼女の右手に傘を握らせると、家に向かって走り出した。
雨の日はやっぱり憂うつだけど不謹慎ながら少し悪くない気もした。